◎サハロフ賞は人権と思想の自由を守るために献身的な活動をしてきた個人や団体をたたえる賞である。
欧州議会は17日、南米ベネズエラの野党指導者マチャド(María Corina Machado)元議員とゴンザレス(Edmundo González)氏にサハロフ賞を授与した。
サハロフ賞は人権と思想の自由を守るために献身的な活動をしてきた個人や団体をたたえる賞である。
欧州議会のメツォラ(Roberta Metsola)議長は記者会見で受賞の理由について、「ベネズエラの自由と民主主義を回復し、公正で自由かつ平和的な政権移行を確実にするために、何百万人ものベネズエラ国民のために、あらゆる危険を冒して、たゆまぬ努力を続けてきたことが評価された」と述べた。
マチャド氏は今年7月の大統領選の有力候補であったが、独裁政権の弾圧により出馬を断念。代わりにゴンザレス氏が立候補した。
スペインへの亡命を余儀なくされたゴンザレス氏はベネズエラの現状を嘆き、「国民のために働く用意がある」と改めて表明した。
マチャド氏は逮捕される恐れがあるとして、所在地を明らかにしていない。17日の式典には代理人が出席した。
マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の支配下に置かれる選挙管理委員会は7月28日に行われた大統領選の集計結果を公表せず、マドゥロ氏が得票率51%で勝利したと宣言した。
しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保・精査した結果、全野党の統一候補であるゴンザレス氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたことが明らかになった。
米国やEUを含む数十カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけてきた。
しかし、最高裁判所は8月末、マドゥロ氏の勝利を認定。さらにカラカスの地方裁判所は9月、ゴンザレス氏が選挙結果を捏造し、暴動を煽ったなどとして逮捕状を発行した。
この結果、ゴンザレス氏はスペインへの亡命を余儀なくされた。
欧州議会は先月の決議で、ゴンサレス氏をベネズエラの大統領と認定した。
ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、800万人近くが国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。