◎コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやISISとつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動している。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは11日、コンゴ民主共和国東部の元市長と軍幹部2人について、昨年の国連平和維持活動(PKO)に抗議するデモ隊への弾圧の際、「人道に対する罪」を犯した可能性があるとして、調査を要求した。
このデモは北キブ州ゴマで昨年8月に発生。治安部隊がMONUSCO(国連コンゴ民主共和国安定化ミッション)に抗議する宗教団体を取り締まり、少なくとも56人が死亡、80人以上が負傷したと伝えられている。
ゴマの市長は当時、デモ主催者が憎悪と暴力を扇動しているとの懸念から、デモ禁止令を出した。
アムネスティは報告書の中で、「デモ主催者のメッセージを検証した結果、憎悪や暴力を扇動した証拠は見つからなかった」と述べた。
治安部隊と陸軍兵士は抗議デモを見越してゴマ市内の主要交差点を封鎖した。アムネスティは情報筋の話しとして、「治安部隊が抗議者を鎮圧するよう命じられた作戦計画書を見た」と主張した。
またアムネスティは「元市長と軍の幹部2人が鎮圧作戦を主導し、その結果、多くの犠牲者が出た」として、コンゴ政府に調査を要求した。
コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやISISとつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動している。
北キブ州には同国最大の反政府勢力「3月23日運動(M23)」の拠点がある。M23と政府は戦争状態にあり、数十年にわたる紛争により、700万人以上が故郷を追われた。
MONUSCOは2010年に活動を開始。前PKOの任務を引き継ぎ、民間人と人道支援要員を保護し、中央政府の安定化と平和定着の努力をサポートしてきた。
しかし、任務開始後もテロ組織による暴力が収まることはなく、東部地域の市民はMONUSCOに対する不満を募らせ、抗議デモに発展。死傷者が出ることも珍しくなかった。
政府は昨年9月、MONUSCOに撤退を命じた。MONUSCOは24年末までに全部隊を撤退させる予定だ。