◎フェンタニルは2ミリグラム服用しただけで死に至る可能性があり、その効果はモルヒネの100倍といわれている。
メキシコ軍が北西部シナロア州で1トンを超えるフェンタニルを押収し、2人を逮捕した。当局が4日、明らかにした。
それによると、陸軍と海軍の合同部隊は3日遅く、シナロア州郊外で銃を持った2人の男を確認。兵士たちは2人を追跡し、その後、2軒の建物を捜索したという。
1軒で約300キロのフェンタニル、もう1軒には800キロが隠されていた。
軍は2人を逮捕し、数丁の銃器を押収したとしている。
公安相はSNSに声明を投稿。「シナロア州史上最大のフェンタニル押収を達成した」と書き込んだ。
フェンタニルは2ミリグラム服用しただけで死に至る可能性があり、その効果はモルヒネの100倍といわれている。
シェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領も4日の定例会見でこの摘発を称賛。「軍と関係機関の努力が実を結んだ」と述べた。
軍は逮捕した2人を最初から狙っていたのか、それとも偶然発見したかは明らかにしていない。
トランプ(Donald Trump)次期米大統領は先月末、メキシコとカナダの麻薬・移民流入対策に不満を示し、1月20日の就任初日にメキシコ、カナダ、中国の全輸入品に関税を課すと表明。カナダとメキシコは25%、中国には10%の追加関税を課すとしている。
トランプ氏はメキシコに対し、移民と麻薬の流入を阻止するよう求めている。
米国内では年間約7~8万人がフェンタニルの過剰摂取により死亡。その99%がメキシコから流入したものである。
メキシコの麻薬カルテルは中国やインドから合成オピオイドの前駆体化学物質を輸入。国内で加工し、米国などに密輸している。
オピオイド系鎮痛剤オキシコンチン、パニック障害治療薬ザナックス、アデラルなどにはしばしばフェンタニルが混入しており、その多くが米国に流れ、社会問題になっている。
メキシコにおけるフェンタニルの押収量は今年前半、劇的に減少していた。前政権下の押収量は週に換算するとわずか数キロであった。
24年上半期に軍が全国で押収したフェンタニルはわずか130キログラム。2023年上半期の2329キログラムから94%減少した。