◎シリア内戦の犠牲者は50万~60万人と推定されている。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。
シリア東部、炎上するトラック(Getty Images/AFP通信)

シリア東部アレッポ県でイスラム過激派組織「タハリール・アルシャーム機構(HTS)」がアサド政権の支配下にある少なくとも10の地域を制圧し、シリア軍の兵士と反体制派の戦闘員数十人が死亡した。地元当局が27日、明らかにした。

イギリスのNGOシリア人権監視団は声明で、「HTSが27日にアレッポ県での作戦を開始し、正規軍と親政府民兵の戦闘員100人近くが死亡した」と述べた。

ロイター通信は関係者の話しとして、HTSのメンバー44人と、同盟関係にある武装勢力の戦闘員16人の死亡が確認されたと伝えている。

シリア人権監視団は声明の中で、「少なくとも4人の異なる階級の将校を含む37人の正規軍兵士が殺害され、5人が捕虜となり、武器庫、装甲車、機械類、重火器がHTSの支配下に置かれた」と述べた。

また同監視団は「正規軍は市民がいるエリアなどに向けて数百発の砲弾とミサイルを撃ち込み、子供を含む多くの市民が死傷した」と明らかにした。

ロイターによると、HTSはアレッポ郊外からほぼ10キロ前進し、多くのシーア派教徒が住む2つの町の目の前に迫っているという。

HTSは親イラン派組織が前哨基地を置いているアレッポ東部の空港も攻撃したとされる。

国営シリア・アラブ通信(SANA)はこの戦闘について報じなかったが、ウェブサイトには「軍がHTSの隠れ家を攻撃し、数十人を殺害した」という記事を投稿している。

HTSは内戦下のシリアで活動する反政府組織のひとつ。北西部イドリブ県に本部がある。

シリア内戦の犠牲者は50万~60万人と推定されている。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。

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