◎リビアは2011年の革命以来、欧州への亡命を希望するアフリカ・中東・アジアの亡命希望者の中継地になっている。
アフリカ北部・リビア軍当局は25日、不法に出国しようとした数百人の移民を北部の地中海近くで逮捕したと発表した。
それによると、ドベイバ政権の支援を受ける民兵組織「444旅団(444 Brigade)」は地中海沿いの町をパトロール中、300人以上の移民を逮捕し、専用施設に収容したという。
444旅団はフェイスブックへの投稿で人身売買組織を非難。「パトロール隊はこれらの組織を破壊する努力を続ける」と表明した。
また444旅団は砂漠の衛星写真と、覆面をした武装兵の前に列をなして座っている移民らしき人々の写真を投稿した。
リビアは2011年の革命以来、欧州への亡命を希望するアフリカ・中東・アジアの亡命希望者の中継地になっている。
その多くは紛争や貧困から逃れた人々で、危険な砂漠や地中海を渡るために人身売買組織に金を支払う。国際移住機関(IOM)によると、昨年リビア沖で死亡が確認された移民は962人。少なくとも1563人が行方不明になったという。
今年リビアからイタリアとマルタに渡った移民は約3万8000人となっている。
人身売買組織が用意する船やゴムボートはしばしば転覆・沈没することで知られ、西欧の指導者たちの優先事項は北アフリカ諸国に到達する移民の数を減らすことである。
しかし、モロッコやチュニジアとは異なり、リビアでは2つの政府が対立し、移民管理の取り組みがうまく機能していない。
リビアは2011年の革命後、政治的な行き詰まりと争いにより東部と西部に分裂。2つの政府が発足した。混乱が収束する見通しは全く立っていない。
国連の承認を受けたドベイバ(Abdul Hamid Dbeibah)首相と対立する東部政府のバシャガ(Fathy Bashagha)首相はシルトに拠点を置き、2021年3月頃から権力闘争を続けている。
地元メディアは7月だけで2000人以上の移民が逮捕されたと報じているが、それをはるかに上回る人々が地地中海に到達しているとみられる。