◎サラメ被告は1993年から昨年までの30年間、中銀総裁を務めた。
レバノン、中央銀行のサラメ総裁(Getty Images/AFP通信)

レバノンの司法当局が中央銀行の前総裁であるサラメ(Riad Salameh)被告の逮捕状を発行した。現地メディアが10月31日に報じた。

サラメは9月初め、4200万ドル(約63億円)を横領した罪で起訴された。

首都ベイルートの司法当局はサラメが中銀事務所の代用オフィスとしてフランスで借りていたアパートをめぐり、サラメの逮捕状を発行。追起訴する方針だ。

サラメは9月初め以来、ベイルートの拘置所で勾留されている。

AP通信は関係者の話しとして、「サラメは元パートナーから年間約50万ドルでこのアパートを借りていたが、そこは中銀事務所に使えるような部屋ではなく、数台のコンピューター以外、何も置かれておらず、使用された形跡もなかった」と伝えている。

当局はサラメが元パートナーと共謀して中銀に損失を与えた疑いがあるとして捜査している。

当局はサラメがこのアパートを借りていた期間や元パートナーの認否を明らかにしていない。

サラメは1993年から昨年までの30年間、中銀総裁を務めた。

レバノンは2019年以来、近代史上最悪と呼ばれる経済危機の真っただ中にある。通貨は紙くずになり、市民は3桁のインフレに直面。人口の4分の3以上が極度の貧困に陥っている。

さらに、同国を実効支配するヒズボラとイスラエルの紛争が激化。この1カ月で100万人以上が避難を余儀なくされた。

サラメは15年にわたる内戦後の経済復興に尽力したとして広く称賛されてきたが、昨年、欧州数カ国が金融犯罪疑惑を捜査する中、雲隠れしたままポストを去った。

サラメは汚職、横領、資金洗浄などの疑惑を否定。自分の資産について、米金融大手バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチで銀行員として働いた時代に得たものと主張している。

フランス、ドイツ、ルクセンブルグは横領や3億3000万ドルの資金洗浄の疑いでサラメとその側近を捜査している。

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