◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ハイチ、首都ポルトープランス、スラム街を巡回する治安部隊(Getty Images/AFP通信)

国連ハイチ統合事務所(BINUH)は30日、同国全土で7月から9月にかけて1740人以上が暴力事件により死傷し、過去3四半期の平均を大きく上回ったと発表した。

BINUHは声明で、「国家代表が不在の中、ギャングは警察や司法の役割を担っていると主張する一方、自分たちのルールを市民に押し付けるようになっている」と指摘した。

またBINUHは同期間に確認された1223件の殺傷事件の大部分がギャングによるものであり、そのうち治安部隊による超法規的殺人が106件報告され、ギャングに情報を流したとされる10歳の子供6人が殺害されたと明らかにした。

106件の超法規的殺人のうち96件は警察官、その他10件は首都ポルトープランス南方の都市の治安部隊によるものであった。

BINUHによると、ポルトープランス南方の都市で活動する治安部隊は2022年以降、ギャングのメンバーや犯罪を犯したと疑われる少なくとも36人を処刑したとされる。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は今月初め頃から激化。中部アルティボニット県では地元で「グラン・グリフ」と呼ばれているギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

ケニア警察が率いる国連支援ミッションは資金と人員不足に直面。ハイチ政府は国連安保理に対し、支援ミッションを平和維持ミッションに引き上げるよう求めている。

安保理が28日に公表したレポートによると、ハイチのギャングは地元の若者を積極的にスカウトし、銃器や弾薬を含む多くの武器を保有。その戦闘員数は5500人にのぼるという。

安保理はその半数が20代以下の若者と推定している。

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