◎今月就任したシェインバウム大統領はカルテル絡みの暴力事件への対処に苦労している。
メキシコ南部ゲレロ州のローマ・カトリック教会が28日、ここ数日で10数人の死者を出した暴力事件で揺れる地域の住民を守るため、政府に対策を講じるよう呼びかけた。
地元当局は同日、州内で暴力事件が相次いでいるとして、3地域の公立学校の対面授業を停止するよう命じた。
同州ローマ・カトリック教会の4人の司祭は声明で、「犯罪組織による権力闘争はますます激しくなっている」と指摘した。
同教会は今年初め、地元の麻薬カルテルの首長と面会し、対立組織と和解するよう促し、注目を集めた。このカルテルは教会の提案に賛同したが、対立する組織が拒否したため、実現しなかった。
今月就任したシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領はカルテル絡みの暴力事件への対処に苦労している。
ゲレロ州では先週、カルテルとみられる武装集団と警察による銃撃戦が発生し、警察官2人が死亡、4人が負傷。陸軍の特殊部隊が武装集団を追撃し、14人を殺害した。
シェインバウム氏は28日の記者会見で、前政権から引き継いだ安全保障政策は確実に成果を上げていると主張した。
またシェインバウム氏は「犯罪者と交渉するのではなく、不処罰と戦い、社会問題を通して暴力の根本原因に対処する」と強調した。
ゲレロ州は同国で最も危険な州のひとつであり、麻薬組織ファミリア・ミチョアカーナや他のカルテル傘下ギャングが支配権をめぐって長年抗争を繰り広げてきた。