◎首都ブエノスアイレスでは半年ほど前からミレイ氏の緊縮策に反対するデモが続いている。
アルゼンチンのミレイ大統領(ロイター通信)

アルゼンチン議会下院(定数257)は9日、公立大学への財政支援を強化する法案に対する大統領拒否権を覆すことに失敗した。

ミレイ(Javier Milei)大統領は公立大学の授業料などを公費で負担する法案に拒否権を発動、下院に送り返した。

下院は3分の2以上の賛成でこれを成立させることができるものの、採決の結果、賛成160ー反対84となり、拒否権を覆すことはできなかった。

昨年就任したミレイ氏は過去の左派政権が残した借金を打ち負かすと誓い、緊縮財政を推進。手厚い補助金を軒並み削減、物価統制を廃止し、自国通貨アルゼンチン・ペソの切り下げを含む抜本的な経済改革に着手した。

その結果、月次インフレ率は1桁まで低下。16年ぶりに四半期ベースで財政黒字を達成するなど、多くの経済的成功を収めてきた。

しかし、補助金頼みの生活を送る低所得者層はミレイ氏の激しいショック療法に耐え切れず、生活環境が悪化。貧困率の激増につながった。

首都ブエノスアイレスでは半年ほど前からミレイ氏の緊縮策に反対するデモが続いている。

ミレイ氏は大学助成法案を「とんでもない間違い」と批判し拒否権を行使。「このような馬鹿げた法案を長年続けた結果、この国は借金まみれになり、破綻寸前まで追い詰められた」と述べた。

アルゼンチンの医療、年金、教育はミレイ氏のショック療法で大打撃を受けている。

ミレイ氏の極右政党は議会の少数派に過ぎないが、左派の法案成立に必要な3分の2以上の賛成を阻止するため、他の右派政党と同盟を結んでいる。

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