◎プエルトリコは2017年のハリケーンで送電網が壊滅的な被害を受けて以来、送配電設備の改修を急いできた。
2024年9月7日/米領プエルトリコ、首都サンフアンのレストラン(AP通信)

米領プエルトリコの財政を監督する連邦管理委員会は18日、広範な停電が続く中、送電網を修復するプロジェクトを加速させるための支援に乗り出すと発表した。

プエルトリコは2017年のハリケーンで送電網が壊滅的な被害を受けて以来、送配電設備の改修を急いできた。地元メディアによると、建て替えが必要な鉄塔は全体の40%にのぼる。

同委員会の事務局長は首都サンフアンの記者団に対し、「米連邦緊急事態管理庁(FEMA)が許可した送電網の安定化と信頼性向上のための予算、170億ドル(約2兆4180億円)以上のうち、まだ12億ドル(約1700億円)しか執行されていない」と語った。

また事務局長は「もっと早く、復旧に向けた調査や工事を進める必要がある」と強調した。

停電に不満を募らせる多くの市民が送配電を運営するルマ・エナジー社との契約を解除するよう要求している。何人かの知事候補もその呼びかけに賛同しているが、事務局長はこれを否定した。

事務局長は「ルマ・エナジー社と発電所を管理するジェネラPRに全責任を負わせても問題は解決しない」と強調。「我が国はあまりにも多くの停電に見舞われている」としたうえで、「国営企業による古いシステムに戻ることはできない」と述べた。

さらに、「実行可能な代替案(別会社との契約など)がないのではあれば、さらなる混乱を招くだけだ」と指摘。契約解除の話は時期尚早であり、当局はすぐに完了できる工事を優先させる必要があると述べた。

この会議に出席したピエルルイシ(Pedro Pierluisi)知事は「FEMAの予算は2021年半ばまで利用できない状態にあった」と強調。「政府の予算執行能力に問題がある」という指摘を否定し、「問題は予算配分を迅速に行えないFEMAの官僚にある」と主張した。

プエルトリコ当局がFEMAに提出した送電網改修プロジェクト460件のうち、144件が進行中。残りは計画段階である。

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