◎ウクライナ軍によるロシア西部クルスク州への越境攻撃は1カ月を超え、数十キロにわたる前線で激しい戦闘が続いているものとみられる。
米英の対外情報機関トップが7日、ロンドン市内で講演し、ウクライナによるロシア西部クルスク州への越境攻撃を称賛した。
英対外情報部MI6のムーア(Richard Moore)長官は越境攻撃について、「ウクライナは大胆に戦争の流れを変えようとしている」と指摘。「ロシアは自分たちの領土で戦争が始まると思っていなかった」と述べた。
ウクライナ軍によるクルスク州への越境攻撃は1カ月を超え、数十キロにわたる前線で激しい戦闘が続いているものとみられる。
ウクライナ軍のシルスキー(Oleksandr Syrskii)総司令官によると、ウ軍はこの1カ月で国境近くのロシア領、約1300平方キロメートルを占領したという。
米中央情報局(CIA)のバーンズ(William Burns)長官は、「この攻勢はロシア軍の脆弱性を露呈させた重要な戦略的成果である」と称賛した。
またバーンズ氏は「西側諸国はエスカレーションのリスクを念頭に置くべきだが、ロシアの剣幕に不必要に怯える必要はない」と指摘。2022年後半にはロシアが戦術核兵器を使用するリスクが劇的に高まっていたと明らかにした。
さらに、ロシア、中国、イラン、北朝鮮との間に広がる防衛関係にも深刻な懸念を示し、「それはウクライナと中東の西側同盟国の両方を脅かしている」と警告した。北はロシアに弾薬ミサイルと砲弾を、イランは自爆ドローンを供与している。
ウクライナの越境攻撃がこの戦争にどのような影響を与え、ウクライナの優位につなげられるかどうかはまだ分からない。
今のところ、この攻勢はプーチン(Vladimir Putin)大統領の関心をウクライナ東部から引き離すには至っていないようだ。
ロシア軍は現在、東部ドネツク州の要衝ポクロフスクに迫っている。
シルスキー氏は5日に放送された米CNNのインタビューで、「ポクロフスクを失わないために、やれることはすべてやっている」と述べていた。