◎シェインバウム次期大統領は来月の就任に先立ち、またしても師匠のオブラドール大統領に冷や水を浴びせられた。
メキシコの商工会議者は数週間前から政府与党の司法制度改革案が外国企業に打撃を与え、メキシコへの投資を危険にさらすと警告してきた。
シェインバウム(Claudia Sheinbaum)次期大統領は数週間にわたり、これを民主化促進策だと言い、こうした懸念を鎮めようとしてきた。
しかし、この憲法改正案を立案したオブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領は6日、これが外国企業に直接狙いを定めたものであると認めた。
オブラドール氏はこう主張した。「腐敗した裁判官、裁判官、裁判官。外国企業はこれを擁護し続けるつもりなのか?略奪し、強奪し、メキシコ国民の経済に影響を与えようとする外国企業を擁護し続けるつもりなのか?外国企業はメキシコの代表であり続けるつもりなのか?」
オブラドール氏は以前から、多くの裁判官が汚職に手を染め、犯罪者を優遇していると批判してきた。
司法当局はこの主張を否定。麻薬カルテル、ギャング、その他犯罪組織への対応に苦慮しているオブラドール政権がその責任を司法に負わせようとしていると批判している。
議会下院は4日、この憲法改正案を可決、上院に送った。
現行制度では、裁判官とその補佐役である裁判所秘書官は、その記録に基づいて徐々に高い地位に就く資格を得る。
しかし、今回の改正案は、「すべての裁判官を国民投票で選出する」としている。さらに、最低限の資格を持つ弁護士であれば誰でも裁判官に立候補できるようになる。
法学部の学位と数年間の弁護士経験があれば、ほぼ誰でも裁判官になる権利を得ることができるのだ。
一部の専門家は経験の浅い政治的に偏った裁判官を生む可能性があると警告している。
全国7000人の裁判官を入れ替える改憲は司法の独立性に深刻な打撃を与え、法律よりも有権者や与党に忠実な裁判官を選出する恐れがある。
また、麻薬カルテルやギャングが自分たちに近い優秀な人物を選挙に送り込む可能性もある。
そもそも、数千人の裁判官を選ぶ選挙を実施できるのか疑問視されている。
シェインバウム氏は来月の就任に先立ち、またしても師匠のオブラドール氏に冷や水を浴びせられた格好だ。
シェインバウム氏は6月の選挙後、メキシコ・ペソが暴落したことを受け、大企業のトップらと面会。綱渡りを余儀なくされた。
10月1日に就任するシェインバウム氏はこの改革を擁護する一方で、外国人投資家を安心させるためのキャンペーンを展開し、国際融資機関、ビジネスリーダー、大企業のトップらと会談した。
今週初め、シャインバウム氏は改革について、「これがメキシコの商業関係や民間投資、外国からの投資に影響を与えることはない。むしろその逆で、誰にとってもより良い法の支配と民主主義が実現する」と主張した。