◎ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
ベネズエラ選挙管理委員会の委員が26日、先月行われた大統領選の結果を非難し、「透明性が完全に欠け、国民に真実を伝えていない」と糾弾した。
選管評議会の5人の委員のひとりであるデルビノ氏はSNSに声明を投稿。選管事務所に提出したとされる書簡を公開した。
それによると、一部の投票所は集計結果を本部に報告しなかったり、選挙規則に違反して監視員を追放した投票所もあったという。
独裁者のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の支配下に置かれる選挙管理委員会は7月28日に行われた大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ氏が得票率51%で勝利したと発表。
しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保したと報告。それによると、ゴンザレス氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたという。
米国を含む数カ国が選挙の勝者を全野党の統一候補であるゴンザレス(Edmundo González)氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけている。
EUもベネズエラ最高裁の結果認定を拒否。最高裁は先週、マドゥロ氏の勝利を認定した。
デルビノ氏はマドゥロ政権の主張に逆らう意思を示した唯一の委員である。
デルピノ氏によると、全国の投票所の多くが正常に機能しておらず、公式に集計できた票は全体の58%にとどまっているという。
デルピノ氏は集計が終わっていないにもかかわらず、選管の委員長がマドゥロ氏の勝利を宣言したと非難。「とんでもないことであり、同僚たちと一緒に抗議することに決めた」と述べた。
またデルビノ氏は「選管の主張が国民のためにならないこと、意見の相違を解決したり、国民の団結を促進したりするものではなく、大多数の国民や国際社会の疑念を煽るものであることを深く遺憾に思う」と嘆いた。
デルビノ氏は野党に近い選挙権の専門家で、昨年、数人の前任者が解任された後、評議会の委員に選出された。
マドゥロ氏は敗北を認めず、ゴンザレス氏と全野党の指導者であるマチャド(María Corina Machado)元議員が偽情報を拡散し、暴力と不安を煽っていると主張。証言を拒否すれば逮捕すると脅している。
治安当局の取り締まりで逮捕されたデモ参加者は2000人以上。少なくとも24人がこの取り締まり中に死亡したとされる。警察は逮捕者と死傷者の数を公表していない。
ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、800万人近くが国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。