◎消費者物価指数(CPI)はピーク時の9%超から大幅に鈍化しているものの、それでもFRBの目標値である2%を1ポイントほど上回っている。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル(Jerome Powell)議長が23日、まもなく利下げを開始すると示唆した。
パウエル氏はワイオミング州で開催された年次総会で、フェデラルファンド(FF、短期借入)金利を調整する「時が来た」と語った。
またパウエル氏は「利下げを実施する前に、インフレ率が目標の2%まで持続的に低下し始めたと確信する必要がある」と強調した。
さらに「インフレ率が2%まで持続可能な下降線をたどっているという確信が深まった」とした。
消費者物価指数(CPI)はピーク時の9%超から大幅に鈍化しているものの、それでもFRBの目標値である2%を1ポイントほど上回っている。
ここ数ヶ月、インフレ率の低下とともに労働市場も減速している。この傾向は先月の雇用統計が予想を下回ったことで浮き彫りとなり、一部のエコノミストの間で米国が景気後退に向かうのではないかという懸念が高まった。
FRBはインフレを抑制し雇用を最大化するという二重の使命に導かれている。
低金利は経済活動を刺激し雇用を促進、高金利は経済パフォーマンスを鈍化させインフレを緩和する。
パウエル氏は「最近の経済情勢はFRBの焦点を”インフレ抑制”から”健全な労働市場の確保”へとシフトさせている」と語った。失業率は今年、3.7%から4.3%に上昇した。
またパウエル氏は「労働市場の冷え込みは明らかだ」と強調した。
市場のセンチメントを測るCMEのFedWatch Toolによると、9月の利下げはほぼ確実だ。
多くの中産階級と低所得者層が利下げを心待ちにしている。パウエル氏が決断すれば、負債を抱える企業や家族が期待する、念願のローン救済が実現する。