◎ウクライナ政府はこの攻撃に関する声明を出していない。
2023年2月18日/ウクライナ、東部ドネツク州の前線付近(Libkos)

ウクライナ軍がロシア領内への攻撃を開始し、複数の集落を占領したとみられる。

ロシア国防省は7日、ウクライナと国境を接する西部クルスク州で越境攻撃を仕掛けているウ軍との激しい戦闘が続いていると報告。ウクライナ政府はこの攻撃に関する声明を出していない。

ロシアの軍事ブロガーなどによると、数千人規模のウクライナ軍部隊が6日、クルスク州に越境攻撃を仕掛けたとみられる。

一部のブロガーはウクライナ軍と反ロシア勢力の合同チームが国境地帯の多くの集落を占領し、国境から15キロほど進軍したと伝えている。

プーチン(Vladimir Putin)大統領は7日、政府と国防指導部による緊急会合を開き、この問題について協議した。

プーチン氏は声明で、「大規模な挑発行動」があったとし、ウクライナ軍がクルスク州の民間施設を無差別に攻撃していると非難した。

一部の独立系メディアは観測筋の話しとして、「民間軍事会社ワグネルとつながりのある反ロシア勢力がウクライナ軍と別々に行動し、国境から18キロほど離れた集落を通過、別の集落に向かっている」と報じた。

AP通信などによると、ウクライナ陣営はクルスク州の国境の町にほとんど抵抗を受けることなく侵攻したという。

この町には西欧に天然ガスを供給するパイプラインの拠点があるとされるが、町がウクライナ陣営の支配下に置かれたかどうかは不明だ。

ロシア国防省に近い著名な軍事ブログ「Rybar」はこの地域で活動するロ軍の状況について、「悪化の一途をたどっており、ウクライナ軍は6日から少なくとも11の集落に入ったが、そのほとんどを占領せず、通過したようだ」と報告している。

ロシア国防省は当初、ウ軍の攻撃をはね返し、撤退させたと主張。ゲラシモフ(Valery Gerasimov)参謀総長は7日、1000人以上のウ軍兵士が国境を越え、ロシア軍の攻撃により数百人が死傷したとプーチン氏に報告した。

国境付近で激しい戦闘が続いていることは事実とみられ、ロシア当局はこの地域から民間人を退避させるとしている。

クルスク当局によると、ウ軍の砲撃などにより、少なくとも31人の民間人が負傷したという。

市民やブロガーがSNSに投稿した動画にはサイレンが響き渡る中、パニック状態で避難する人々の姿が映っていた。

AP通信が確認した動画には捕虜になったとみられるロシア兵数十人が道路脇に座り、ウ軍のものとみられる装甲車がその横を通過する様子が映っていた。

Rybarによると、少なくとも2000人のウ軍兵士が国境を越えて集結し、その工兵部隊が占領した集落とその周辺に塹壕や要塞を築こうとしているという。

一部の専門家はこの越境攻撃について、ウクライナはロシアとの和平交渉を有利に進めるため、国境付近のロシア領やパイプライン拠点を支配下に置き、それを返還する見返りにロシアが併合した4州とクリミア半島を取り戻そうとしているという見方を示している。

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