◎選管によると、マドゥロ氏の得票率は51%。全野党の統一候補であるゴンザレス氏は44%。それ以上のデータは公表していない。
ベネズエラの選挙管理委員会は28日、大統領選の集計があっという間に完了し、現職のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が得票率51%で勝利したと主張した。
選管の発表後、マドゥロ氏は閣僚を引き連れ勝利を宣言。野党候補を嘲笑した。「我々の選挙は公平公正なものであった。今回も完璧だ。いかなるミスも弱点もない。ベネズエラの法は尊重されるだろう...」
選管によると、マドゥロ氏の得票率は51%。全野党の統一候補であるゴンザレス(Edmundo González)氏は44%。それ以上のデータは公表していない。
選管は野党や欧米諸国から詳細なデータを公表するよう求められるも、沈黙。野党陣営は選管をマドゥロ氏の「手下」と呼び、データを捏造したと主張している。
複数の地元メディアが行った最新の世論調査によると、ゴンザレス氏の支持率はマドゥロ氏を25~30%上回っていた。
チリのボリッチ(Gabriel Boric)大統領は選管の発表を「信じがたい」と批判。ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官は発表された集計結果が民意を反映していないと指摘し、「深刻な懸念を抱いている」と表明した。
投票を監視するジミー・カーター(Jimmy Carter)元米大統領の財団「カーター・センター」はベネズエラ当局に対し、今回の選挙で使用した3万台の投票機の集計結果を公表するよう求めた。
また同センターは職員をベネズエラに派遣したと述べた。
野党指導者のマチャド(María Corina Machado)元議員は記者団に対し、「野党陣営が全国に配置した選挙監視員たちはゴンザレス氏の票が圧倒的に多かったと報告している」と語った。
同国初の女性大統領を目指していたマチャド氏は昨年10月、米政府が支援する全野党の選挙管理当局が主催する大統領予備選で得票率90%超を獲得。その投票数は選管の予想を大きく上回った。
しかし、マドゥロ政権はマチャド氏に15年間の出馬禁止令を科しているため、野党はその後、元外交官のゴンサレス氏を統一候補に指名した。
米政府は昨年10月、マドゥロ政権が野党連合と選挙協定を結んだ見返りとして、経済制裁を一部緩和したものの、、マチャド氏が選挙に立候補できなかったことなどを受け、今年3月にこれを取り消した。
ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏のバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
現在のGDPはピーク時の4分の1となっている。