◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
中米ハイチの北部沖で80人以上の移民を乗せた船が炎上した事故について、国連の国際移住機関(IOM)は20日、行方不明になっている40数人は全員死亡したとみられると発表した。
この船は17日にハイチ北部の港を出港し、英領タークスカイコス諸島に向かっていた。
火災は18日遅くから19日未明にかけて発生したと報告されている。ハイチの沿岸警備隊は船長を含む3人の死亡を確認し、41人を救助、40人以上が行方不明になっていると明らかにしていた。
それによると、救助された41人のうち11人がやけどを負い、北部の病院で手当てを受けているという。
移民の国籍と身元は明らかにされていない。一部メディアはほぼ全員がハイチ人と伝えている。
IOMのハイチ担当官は声明で、「この恐ろしい事故は非正規ルートで米国への亡命を希望する女性、子供、男性が厳しい現実に直面していることを意味する」と述べた。
また担当官は「国際法に基づく、安全で合法的な亡命ルートを構築することが極めて重要である」と強調した。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
首都ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
国連によると、それ以来、58万人近くが避難生活を余儀なくされ、100万人以上が出国したとみられる。