◎今年のハッジは記録的な猛暑の中で行われ、気温が55度に迫る日もあった。
イスラム教の聖地メッカへの大巡礼「ハッジ」に参加したイスラム教徒1300人以上が熱中症とみられる症状で死亡した。サウジ当局が23日、明らかにした。
今年のハッジは記録的な猛暑の中で行われ、気温が55度に迫る日もあった。
国営メディアは保健省幹部の話しとして、「亡くなった1301人の75%以上が巡礼許可を持っていない外国人巡礼者であり、厳しい熱波の中、徒歩でメッカを目指した」と伝えている。
それによると、亡くなった人の多くが高齢者や何かしらの疾患を持ち、熱中症とみられる症状で体調を崩し、道端で力尽きた人もいたという。
保健省の報道官は声明で、「ハッジが始まる以前から、暑さ対策を徹底し、水分補給を行うよう繰り返し呼びかけてきたが、このような事態となり、遺憾に思う」と述べた。
また報道官は許可証を持っていない14万人以上の巡礼者を含む50万人近くがクールスポットや医療機関で治療を受けたと明らかにした。
一部の専門家はサウジ当局がハッジをより安全なものにする努力を怠っていると批判している。
当局の許可を得ていない巡礼者は専用バス、クールスポット、宿泊所を利用できず、その多くが数日かけて徒歩でメッカを目指す。
ハッジはイスラム教徒にとって、「一生に一度は行わなければならない人生の義務」である。
巡礼者たちは1400年前に預言者ムハンマドが歩いた道を数日かけて巡礼し、神に近づくことを目的とする儀式を行う。
今年は世界中から180万人以上のイスラム教徒が集まり、猛烈な暑さの中、カーバ神殿や聖なる丘を巡礼した。
サウジの気象台によると、メッカの22日の最高気温は51.8度であった。
多くの国が自国民の死者数を更新している。サウジ当局が死者数を公表したのは23日が初めてであった。
AP通信はエジプト政府高官の話しとして、「エジプト人少なくとも658人がハッジ中に亡くなり、その多くが許可証を持っていなかった」と伝えている。
インドネシア政府は自国民200人以上が死亡したと発表。インドも98人が死亡したと報告している。
パキスタン、マレーシア、ヨルダン、イラン、セネガル、スーダン、イラク、チュニジアなども死者を確認した。
サウジ当局によると、近年のハッジで亡くなった巡礼者の多くが許可証を持たない外国人であったという。
エジプト政府は22日、当局の許可を得ずに巡礼者をサウジに送った16の旅行代理店の免許を剥奪したと発表。その代表を逮捕・送検したと明らかにした。
ヨルダン政府も21日、非公式巡礼を斡旋した旅行代理店数社を摘発し、その関係者を拘束したと発表。チュニジアのサイード(Kais Saied)大統領はこの問題を受け、宗教相を解任した。