◎ニジェールとベナンの関係は昨年のクーデター以来、緊張状態にある。
ガスパイプライン(Getty Images)

西アフリカ・ニジェールの石油パイプラインプロジェクトが外交紛争に巻き込まれ、危機に瀕している。

昨年のクーデターで政権を掌握した軍指導部はこのプロジェクトを最優先事項のひとつとみなしている。

軍政は4億ドルの契約に基づき、中国に石油を輸出する予定だ。

中国資本の企業が建設した全長1930キロのパイプラインはニジェールの油田とベナンの港を結んでいる。

この運用が始まれば、ニジェールの石油生産量は5倍になる。

しかし、ベナン政府は先月、「ニジェールがベナンからの輸入を再開し、関係を正常化しない限り、港の利用を許可しない」と発表した。

軍政はこれに猛反発。「ベナン政府による石油輸出の妨害は国際法違反であり、容認できない」と応戦した。

ニジェールの地元メディアによると、武装勢力がこのパイプラインを攻撃したという。その後、愛国解放戦線という武装勢力が犯行声明を出した。

同組織は中国との取り引きを破棄しなければ、複数の民兵と連携してパイプラインを再攻撃すると脅している。

軍政の支配下にあるニジェール、マリ、ブルキナファソは国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)系組織の攻撃に直面。この10年で数万人が死亡、数百万人が国外に逃亡した。

愛国解放戦線は昨年のクーデター後に武装し、ニジェールの安全保障を脅かす新たな脅威のひとつになった。

一部の専門家は世界で最も貧しい国のひとつであるニジェールがベナンとの外交紛争に対応できなければ、ブルキナのような無法地帯になる可能性もあると指摘している。

ニジェールの石油生産量は日量2万バレルに過ぎない。パイプラインの輸送量は日量9万バレルであり、国の歳入を補強するだろう。

ニジェールとベナンの関係は昨年のクーデター以来、緊張状態にある。

このクーデターにより、ベナンが加盟する西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)はニジェールに対し、国境閉鎖を含む厳しい制裁を科した。

この制裁は今年2月に緩和されたものの、ニジェールはベナンからの輸入品受け入れを拒否している。

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