◎総選挙の開票作業は4日から始まり、BJP連立政権が過半数を獲得。しかし、メディアの出口調査で見込まれたような圧勝とはならず、野党連合が予想以上に善戦したことが明らかになった。
インドのモディ首相(Getty Images)

インドのモディ(Narendra Modi)首相は4日、2カ月近くに渡る総選挙で自身のインド人民党(BJP)率いる連立与党が過半数を維持したことを受け、勝利を宣言し、「歴史的な3期目をスタートさせることができて本当に嬉しい」と表明した。

総選挙の開票作業は4日から始まり、BJP連立政権が過半数を獲得。しかし、メディアの出口調査で見込まれたような圧勝とはならず、野党連合が予想以上に善戦したことが明らかになった。

地元テレビ局によると、開票率95%の時点で下院543議席中、BJPは250議席に届いていない。前回2019年の選挙では303議席を獲得、前々回でも単独過半数を獲得していた。

73歳のモディ氏は同国史上2人目の3期連続で勝利した首相となる。

連立与党は543議席中303議席を確保。過半数は堅持した。一方、ガンジー(Rahul Gandhi)氏の国民会議派が率いる野党連合は220議席を超え、予想を大きく上回る議席を確保した。

モディ氏は連立を組む政党の党首らと会談し、閣僚人事を進めるとみられる。

一方、野党連合もモディ氏の政策に不満を持つ一部の議員を取り込めないか模索している。

多くの有権者にとって、モディ氏はこの10数年で同国の地位を劇的に向上させ、経済規模を世界第5位に押し上げた功労者である。

人口の約60%を賄う社会福祉プログラムを合理化した手腕は高く評価されてきた。

しかし、経済成長から取り残された農村部の市民、人権団体、活動家、メディアはモディ氏が民主主義を侵食し、人口の14%を占めるイスラム教徒を標的とし、分断を煽ったと批判している。

地元メディアはモディ政権がこの数年、政敵を抑圧し、独立系メディアに圧力をかけ、イスラム教徒を封じ込めるために、強権的な戦術を行使してきたと連日報じていた。

モディ氏はそのような批判を受け流し、「インドは世界最大の民主主義国家である」と主張してきた。

政治アナリストによると、モディ氏の勝利の原動力となったのは、食料から住宅まで給付する社会福祉プログラムとその恩恵を最前線で受けてきたヒンズー教徒の票の大半を集めたことだという。

ヒンズー教徒は人口の80%を占める。

インドの経済成長率は7%前後を維持し、モディ政権下で5億人以上のインド人が銀行口座を開設した。しかし、このレベルの成長でも十分な雇用は創出されず、モディ政権下で格差が拡大したと指摘する専門家もいる。

モディ氏は2カ月にわたる選挙キャンペーンで2047年までにインドを先進国にすると約束。政権の福祉政策とそれがもたらしたデジタル・インフラを成果として強調した。

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