◎シエラレオネは2002年に内戦が終結した後も様々な困難に見舞われ、回復の途上にある。
西アフリカ・シエラレオネ政府は4日、薬物乱用による死者が数百人に達したという保健当局の報告を受け、「ドラッグ非常事態」を宣言した。
大統領府によると、ビオ(Julius Maada Bio)大統領は合成麻薬クッシュの使用が急増していることに深刻な懸念を表明、緊急事態を宣言する大統領令に署名したという。
クッシュはマリファナ、フェンタニル、トラマドール(強力な鎮痛剤)を混ぜたものであり、中毒性が極めて高い。フェンタニルは2ミリグラム服用しただけで死に至る可能性があり、その効果はモルヒネの100倍といわれている。
保健当局によると、今年クッシュとみられる違法薬物を接種し死亡した人は確認できているだけで数百人に達したという。
騙されてクッシュを摂取したという男性は地元テレビ局の取材に対し、「向精神薬と説明を受け、中毒になってしまった」と語った。
専門家によると、安価で販売されているクッシュには他の危険な物質が含まれている可能性があるという。
クッシュが西アフリカで流通し始めたのは4年ほど前。隣国リベリアでも中毒者が増えているとして、問題視されている。
ビオ大統領は4日付けの声明で、「薬物および薬物乱用と闘うために、多方面にわたる戦略を実施・サポートするタスクフォースを立ち上げる」と述べた。
医療従事者はこの大統領命を歓迎した。
シエラレオネは2002年に内戦が終結した後も様々な困難に見舞われ、回復の途上にある。15~35歳の失業率は世界で最も高く、60~70%で推移している。