◎首都ポルトープランスの人口は約300万人。その80%がギャングの支配下に置かれ、機能不全に陥っている。
国連の国際移住機関(IOM)は21日、武装ギャングの支配下に置かれつつ中米ハイチの首都ポルトープランスで暴力が激化し、過去2週間で3万3000人以上が避難を余儀なくされたと報告した。
それによると、避難民の大半が南部にバスや徒歩で移動したという。
ポルトープランスの人口は約300万人。その80%がギャングの支配下に置かれ、機能不全に陥っている。
IOMはレポートの中で次のように指摘している。「暴力と治安の悪化により、多くの市民がギャングの支配地域を通過してポルトープランスを離れ、地方に避難している...」
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの推定80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ギャングの猛攻が始まった2月末以来、100人以上が死亡、数万人が住居を失ったとされる。
現地メディアによると、複数のギャングが国際空港と共和国銀行(BRH、中銀)を狙っているとみられ、治安部隊と何度も衝突している。
ポルトープランスと南部を結ぶ幹線道路および周辺地域は同国最大のギャング「G9&Family」の支配下に置かれているようだ。
IOMは南部に逃れた市民の数が11万6000人に達し、今も増え続けていると報告。「それらの地域の生活インフラは整っておらず、避難民の受け入れに苦労している」と指摘した。
先週辞意を表明したアンリ(Ariel Henry)首相の後を継ぐ「暫定評議会」の委員と暫定首相は近いうちに選出されるものとみられる。
ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。