◎人身売買組織は沿岸警備隊に見つかることを恐れ、沖合で移民を降ろすことがある。
スペイン南部カディスの沖合で船から突き落とされた移民4人が溺死した。地元当局が11月30日、明らかにした。
それによると、事件は30日午後に発生。人身売買組織が運航する船がカディスの海岸沖数十メートルの地点でアフリカ系移民35人を海に突き落とした。
AP通信は当局者の話しとして、「子供6人を含む35人がビーチに流れ着いた」と伝えている。
その後、地元のボランティアが4人の死亡を確認し、警察に通報した。
この船は沿岸警備隊が到着する前に現場海域から逃亡。姿を消した。
地元のボランティアによると、この船は海岸から数十メートルの地点で移民27人を海に落とし、少し移動して残り8人を突き落としたという。
この海岸近くで働く男性が撮影したビデオには、移民が船から突き落とされる様子や、ビーチまで泳ごうとする人々の姿が映っていた。
救助作業に参加した男性はAPの取材に対し、「私と息子は空のペットボトルと浮き輪を彼らに投げ、8人を救助した」と語った。
また男性は「沿岸警備隊と警察が到着した時には救助作業は終わっていた」と述べた。
警察はその後、ドローンを使って逃亡した船を探したが、見つからなかったという。
沿岸警備隊は声明で、「移民を殺害した人身売買組織を追跡しており、目撃者に情報を提供するよう求めている」と述べた。
それによると、35人は全員北アフリカ出身とみられる。
人身売買組織は沿岸警備隊に見つかることを恐れ、沖合で移民を降ろすことがある。
北アフリカの人身売買の拠点になっているリビアやチュニジアの周辺海域ではイタリア、ギリシャ、トルコ、欧州国境沿岸警備機関(Frontex)の巡視艇が目を光らせている。