◎12年以上にわたる内戦の後、イドリブ県は反政府勢力の最後の主要拠点となった。
シリアのアサド政権が反体制派の支配地域への攻撃を強化し、この数週間で市民7万人以上が避難を余儀なくされた。国連人道問題調整事務所(OCHA)が12日、明らかにした。
それによると、アサド政権は北西部イドリブ県やアレッポ県の民間施設などを繰り返し砲撃しているという。
これは中部ホムス県の陸軍士官学校に対する5日のドローン空爆の報復と考えられている。この空爆では子供5人と女性31人を含む89人が死亡、277人が負傷した。犯行声明は出ていない。
OCHAは「アサド政権とロシア軍が北西部の病院、学校、その他の民間インフラを標的にしている」と報告している。
それによると、北西部地域に対する今回の攻撃はこの数年で最大規模とみられ、多くの民間人が犠牲になったという。
イドリブ県とアレッポ県の住民約450万人は人道支援に頼って生活している。
12年以上にわたる内戦の後、イドリブ県は反政府勢力の最後の主要拠点となり、国際テロ組織アルカイダの系列組織であるイスラム聖戦主義同盟ハヤト・タハリール・アルシャムとトルコの支援を受ける組織が実効支配している。
OCHAはウクライナ侵攻などの影響で予算不足に陥り、住民のニーズに応えられずにいる。
現地メディアによると、OCHA、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、世界保健機関(WHO)の担当官らは12日、アサド政権の攻撃から逃れた市民の避難先を視察したという。
WHOの担当官は「シリア軍が医療施設を空爆したという報告を23件受けている」とSNSに投稿。国際社会に支援を呼びかけた。
担当官のひとりはAP通信の取材に対し、「民間人がいる医療施設、学校、避難所を空爆しないで」と訴えた。