◎米国はニジェールへの経済支援を停止すると示唆し、EUは経済・安全保障支援の無期限停止を決めた。
アフリカ連合(AU)が29日、西アフリカ・ニジェールのクーデター政権に最後通告を出し、15日以内に民主的に選出されたバズム政権を復活させるよう求めた。
大統領警護隊らで構成される反乱軍は26日に首都ニアメの大統領府を占拠し、バズム(Mohamed Bazoum)大統領とその家族を拘束。その後、チアニ(Abdourahmane Tchiani)将軍が国家元首になったと主張した。
反乱軍の報道官は29日、国営テレビの取材に対し、「公務員の代表らと会談し、通常通り仕事を行うよう求めた」と語った。
また報道官はチアニ氏率いる新政府が今後も権力を維持すると示唆した。
AUは29日の声明で、「アフリカ大陸の民主主義と安定が損なわれている」と非難し、ニジェールの反乱軍に対し、15日以内に無条件で兵舎に戻り、選挙で選ばれた政権と憲法を速やかに回復するよう求めた。
またAUは「バズム氏を直ちに解放すべきであり、応じない場合は懲罰的な措置を取らざるを得なくなる」と警告した。
米国はニジェールへの経済支援を停止すると示唆し、EUは経済・安全保障支援の無期限停止を決めた。
ブリンケン(Anthony Blinken,)米国務長官は29日、ニジェールとの経済・安全保障パートナーシップを数億ドルと見積もり、「その継続は民主的統治と憲法秩序の継続にかかっている」と述べた。
反乱軍は今のところ引き下がる兆候を見せていない。西側のアナリストやシンクタンクは西側諸国、AU、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)らの介入で問題を解決できると指摘している。
ニジェールはフランスの旧植民地であり、1960年の独立以来、4度軍事クーデターが発生している。
バズム氏は2021年の選挙で選出され、サヘル地域におけるイスラム過激派との戦いにおいて、西側諸国と緊密に連携している。