◎シリア内戦の犠牲者は50~60万人と推定され、10万人以上が行方不明になったとみられる。戦前の人口のおよそ半数が国外に逃亡した。
国連はシリアのアサド政権が提示した同国北西部に援助物資を届ける条件を非難し、到底容認できないと表明している。主要メディアが関係者の話しとして15日に報じた。
アサド政権はクルド人が支配する北西部に援助物資を届ける条件として、▽政府との全面的な調整・協力▽テロ組織と連絡を取らないこと▽赤十字国際委員会とシリア・アラブ赤新月社が援助物資を届けるよう求めている。
AP通信は14日の国連安保理で示されたメモを引用し、「国連人道問題調整事務所(OCHA)は人道支援活動を遂行するにあたり、シリア政府が示した条件を受け入れらないと表明した」と伝えている。
またOCHAは赤十字と赤新月社が配達を監督しなければならないとアサド政権が提案したことについて、「国連の独立性に合致するものではなく、現実的ではない」とした。
OCHAは「アサド政権を介して北西部に援助物資が届くかどうかを再検討する必要があり、シリアにおける国連の公平性、中立性、独立性を侵害することはできない」と強調した。
シリア北西部に援助を送る安保理の協定は今週失効。それ以来、国連はトルコから北西部につながる国境交差点を使用していない。
この交差点は2014年に内戦が勃発して以来、数百万人に人道支援を送る拠点のひとつになってきた。
アサド政権とその同盟国であるロシア(国連常任理事国)はすべての援助物資輸送を首都ダマスカス経由で行うよう求めている。
ロシアは11日、シリアにおける安保理の活動を9カ月間延長する動議に拒否権を行使した。その後、ロシアは活動期間を6カ月間に短縮する案を提出したが、反対多数で否決された。
安保理はトルコ、イラク、ヨルダンから北西部の反体制派が支配する地域に4つの通過点を通じて援助物資を届けてきた。
しかし、ロシアは中国の後押しを受け、安保理に対し、認可された拠点をダマスカス経由の1カ所に絞り、この期間を1年から半年に短縮するよう求めていた。