◎イギリス、米国、EUはアンフェタミン取引に関与しているとして、麻薬組織やアサド大統領などに制裁を科している。
シリアのアサド政権が英国放送協会(BBC)のメディア認定を取り消した。BBCなどの現地メディアが9日に報じた。
それによると、アサド政権はBBCがシリアに関する誤った情報を拡散したと主張。「フェイクニュースを世界に発信している」と非難したという。
BBCは世界で最も信頼度の高いメディアのひとつとされ、世界で初めてのテレビ放送を行った放送局として知られている。
BBCアラビアは数日前にアサド政権の違法薬物取引に関するドキュメンタリーを放送していた。それによると、アサド(Bashar Assad)大統領とその親族、国軍、民間企業はアンフェタミンの製造・密売で数十億ドルの利益を得ているという。
情報省は8日遅くに発表した声明で、「BBCはテロ組織やシリアに敵対する人々の発言・証言に基づいてドキュメンタリーを作成し、誤解を招くような情報を放送した」と主張している。
情報省はシリアで活動するBBCの特派員などの免許を剥奪したとしている。
BBCは9日の声明で、「我々は政治の影響を受けず、公平な立場で事実を明らかにする」と述べ、「当局は公平なジャーナリズムを提供している」と強調した。「我々はこれからも、アラビア語圏の視聴者に公平なニュースと情報を提供し続けます」
イギリス、米国、EUはアンフェタミン取引に関与しているとして、麻薬組織やアサド氏などに制裁を科している。
しかし、アサド政権はカプタゴン(アンフェタミン系薬物)の製造・密売への関与を否定している。
カプタゴンは「貧乏人のコカイン」と呼ばれ、湾岸諸国や欧州などで人気を集めている。シリア内戦でもカプタゴンが出回り、多くの戦闘員が恐怖心を薄れさせるために使用したとされる。
英政府の試算によると、シリアのカプタゴン産業は570億ドルもの価値があり、アサド政権を支える主要な収入源となっている。