◎西岸地区などで今年殺害されたパレスチナ人は140人を超え、その半数が武装勢力に所属していない民間人とみられている。
ヨルダン川西岸地区でパレスチナ武装勢力の構成員とされる男が発砲し、イスラエル兵1人を殺害した。地元当局が6日に発表した。
イスラエル軍報道官によると、容疑者はまもなく別の兵士に射殺されたという。
同軍は前日、西岸地区の都市ジェニンでの48時間にわたる軍事作戦を終了させた。この作戦は武装勢力の拠点を対象とするものとされ、パレスチナ人少なくとも12人が死亡。イスラエル兵も1人死亡した。
ガザ地区を実行支配するイスラム過激派組織ハマスは6日、この発砲事件に関与したと声明を発表。「ジェニン侵攻に対する市民の怒りを表したものであり、自然な反応だ」と主張した。
ハマスによると、イスラエル兵を殺害したのは19歳の男性。
この発砲事件はジェニンの軍事作戦の効果に疑問を投げかけた。一部の専門家はネタニヤフ政権の超国家主義政党がさらなる軍事作戦を求める可能性があると指摘している。
AP通信によると、6日の事件が発生したエリアの近くにはスモトリッチ(Bezalel Smotrich)財務相の自宅があるという。
スモトリッチ氏は超国家主義政党「宗教シオニズム」の党首であり、ユダヤ人による入植を監督している。
一方、ハマスは声明の中で、「ジェニンの軍事侵攻はパレスチナ人の怒りを呼び覚まし、領土奪還に向けた取り組みを加速させることになるだろう」と主張した。
イスラエル軍によると、男は検問所近くで車を停車させた後に発砲し、逃亡したという。治安部隊は車を追跡し、まもなく容疑者を射殺したとされる。
ヨルダン川西岸地区ではこの1年で暴力が急増し、ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相の政権運営に深刻な影響を与えている。
ネタニヤフ氏の与党リクードと連立を組む超国家主義政党は厳しい対応を取るよう求めているが、混乱が収束する見通しは全く立っていない。
西岸地区などで今年殺害されたパレスチナ人は140人を超え、その半数が武装勢力に所属していない民間人とみられている。パレスチナ人の攻撃で死亡したイスラエル市民は6日の事件で25人となった。