◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長は1日、訪問先の中米ハイチで同国への平和維持軍派遣を国際社会に呼びかけた。
グテレス氏が国連事務総長としてハイチを訪問したのは初めて。
グテレス氏はツイッターに声明を投稿し、ハイチ国民への連帯を表明。国際社会にハイチ国家警察を支援するPKO部隊を派遣するよう改めて要請した。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
首都ポルトープランスでは半年ほど前から複数の武装ギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。国連はこの争いで民間人数百人が死亡または行方不明となり、数十万人が国外に逃亡したと推定している。
国連によると、グテレス氏はアンリ(Ariel Henry)首相をはじめとする政府高官や市民社会グループの指導者などと会談する予定。
ハイチで活動する国連機関やNGOはギャングの暴力、公衆衛生の悪化、政情不安に見舞われている市民が飢餓や感染症に直面していると軽傷を鳴らしている。
グテレス氏は4月の国連安全保障理事会でポルトープランスの治安の悪さを「紛争地に匹敵する」と評し、数十万人がこの数十年で最悪の人権危機に直面していると警告した。
アンリ氏の報道官は1日、「PKOが対応に当たらなければ、内戦状態に陥る可能性がある」と述べ、国際社会に決断を迫った。
国連とアンリ氏は米国とカナダが主導するPKOの派遣を繰り返し要請してきた。
しかし、安保理が派遣要請を受けてから9カ月が経過したものの、どの国も指揮を取ることに合意していない。
カナダとブラジルはPKO派遣に向けた協議に前向きだが、米国、中国、ロシアは消極的な姿勢を示している。カリブ海諸国はPKO派遣を支持している。