◎マリは2012年以来、イスラム過激派による反乱を封じ込めようと苦闘してきた。
マリ軍政は16日、同国に10年以上駐留する国連マリ多次元統合安定化派遣団(MINUSMA)に退去を勧告した。
ディオプ(Abdoulaye Diop)外務・国際協力相は国連安保理の演説でMINUSMAの任務は失敗したと批判。直ちに退去するよう要求した。
またディオプ氏は「MINUSMAは目的を達成できず、市民に不信感を植え付けている」と断じた。
マリは2012年以来、イスラム過激派による反乱を封じ込めようと苦闘してきた。
その翌年、旧宗主国であるフランス主導の軍事作戦により、過激派は土地を追われたが、サヘル地域で再結集し、マリだけでなく隣国のブルキナファソやチャドでも猛威を振るっている。
仏軍の作戦から数カ月後、1万5000人以上の兵士で構成されるMINUSMAが投入された。このミッションは国連PKOの中で最も危険かつ厳しいものであり、この10年でその要因約170人が殺害されている。
ディオプ氏は演説の中で「MINUSMAの速やかな撤退を求める」と述べ、「同ミッションはマリの治安状況に適応できず、市民が求める安全保障上のニーズに応えているとは思えない」と批判した。
マリは2020年から2度のクーデターを経て、現在はゴイタ(Assimi Goita)大佐率いる軍政の統治下にある。
ゴイタ氏が政権を握って以来、国際社会との関係は緊迫。欧米諸国は軍政がロシアの民間軍事会社ワグネルと契約を結んだことに深刻な懸念を示している。
軍政はこの数カ月、MINUSMAの活動を制限。ドイツ、イギリス、スウェーデン、ベナン、コートジボワールなどの国々がこの部隊からの撤退を表明している。
国連安保理は毎年この時期にMINUSMAの活動を継続するか否かを決めている。その活動期間は延長が許可されなければ6月30日に切れる。