◎開票率99.9%時点で与党・新民主主義党(ND、中道右派)の得票率が41%、野党の左派連合SYRIZAの20%を大きく上回った。
ギリシャで21日、総選挙(一院制、定数300)の投開票が行われた。
選挙管理委員会によると、開票率99.9%時点で与党・新民主主義党(ND、中道右派)の得票率が41%、野党の左派連合SYRIZAの20%を大きく上回った。
ミツォタキス(Kyriakos Mitsotakis)首相は21日遅くの会見で勝利を宣言した。
内務省の推計によると、NDの議席数は146。絶対安定多数には5議席及ばなかった。
SYRIZAの党首は世論調査を下回る結果に落胆し、ミツォタキス氏を称賛した。
ミツォタキス氏は演説で、「この結果は国民が我が党の4年間の政権運営を支持したことを意味する」と述べた。
またミツォタキス氏は「国民は多数派の党が運営する連立政権より、我が国の民主主義を確固たるものにする単独政権を望んでいる」と主張した。
首都アテネの支持者たちは開票速報でNDの大勝が明らかになった瞬間、歓声を上げた。
地元メディアの世論調査はSYRIZAが与党に肉薄すると予想していた。
ほぼすべての票が集計された時点で、NDは146議席を獲得することが確実となった。
ミツォタキス氏は連立ではなく単独政権樹立を目指すとみられ、再選挙の可能性が高まっている。
サケラロプル(Katerina Sakellaropoulou)大統領は22日から、第1党から第3党の順にそれぞれ3日間、連立交渉期間を与える。交渉が全て決裂した場合は再選挙の準備に移行し、暫定政権を任命する。
ミツォタキス氏は連立の可能性を否定していないが、地元メディアは政府関係者の話しとして、「SYRIZAと話すことはなく、次の選挙に向けた準備はすでに始まっている」と報じた。
野党で連立を組める可能性もゼロに近い。今回議席を獲得した野党4党のうち、共産党は連立に参加しないと表明。右派政党「ギリシャの解決策」はNDとSYRIZAに批判的なため、野党で連立を組むのは困難とみられる。
SYRIZAを率いるツィプラス(Alexis Tsipras)元首相は大敗を認めたうえで、あらゆる可能性を考慮して交渉に臨むと述べた。
ツィプラス氏は2009年の金融危機後の緊縮財政を批判することで支持を集め、2015年に政権を取ったが、債権者と国際社会の圧力に屈し、緊縮財政を維持した。
ミツォタキス氏の支持率は今年2月末の列車衝突事故(57人死亡)で急降下したものの、その責任をすべて与党に負わせようとした野党にも批判が集まり、NDの支持率回復につながったようだ。