◎地検は3月、カーン氏を含む前政権の閣僚や関係者などをテロに関与した容疑などで告発していた。
2023年5月9日/パキスタン、カラチの通り、カーン前首相の逮捕に抗議するデモ(EPA通信)

パキスタン全土で9日、カーン(Imran Khan)前首相の逮捕に抗議するデモが繰り広げられ、少なくとも1人が死亡した。

カーン氏は9日、首都イスラマバードの高裁に出廷した直後に逮捕された。

地検は3月、カーン氏を含む前政権の閣僚や関係者などをテロに関与した容疑などで告発していた。

地元メディアによると、南西部バルチスタン州クエッタで暴動が発生し、民間人1人が死亡したという。

米政府は声明で、「パキスタンの法の支配を支持する」と表明した。

ソーシャルメディアで共有された映像には高裁前に集結した数十人の警察官とカーン氏の姿が映っていた。AP通信によると、カーン氏は高裁内で拘束され、パトカーに放り込まれたという。

カーン氏は汚職を含む複数の容疑で証言するために高裁に出廷していた。

抗議デモはイスラマバードを含む複数の都市で発生し、その多くが軍の施設周辺で行われたようだ。内務省はSNSで偽情報が拡散する恐れがあるとして、モバイルデータ通信を制限している。

パキスタンの軍隊は政治において重要な役割を果たしており、時には軍事クーデターで権力を掌握し、また時には舞台裏で主導権を握ることもある、ようだ。

中露寄りのカーン氏は昨年4月に不信任決議で弾劾されて以来、政府・司法・軍を批判し、全国各地で集会を開催してきた。

カーン氏は不信任決議に米国が関与したと主張。「逮捕状はシャリフ(Shahbaz Sharif)首相の嫌がらせのひとつ」と非難している。

多くのアナリストが2018年のカーン氏の選挙勝利は軍の助けによるものと考えている。しかし、カーン氏は現在、軍を最も声高に非難する1人である。地元紙が行った世論調査によると、軍の支持率はこの1年で大幅に低下したという。

一方、東部ラホールで行われたデモは暴動に発展し、一部の暴徒が軍施設に押し入った。負傷者が出たかどうかは明らかになっていない。

米国のブリンケン(Antony Blinken)国務長官はSNSに声明を投稿。「パキスタンで何が起ころうと、法の支配を遵守する必要があると強調したい」と呼びかけた。

イギリスのクレバリー(James Cleverly)外相も暴動に深刻な懸念を表明し、「法の支配が遵守されることを望んでいる」と述べた。

警察はカーン氏の罪状を明らかにしていないが、一部のメディアは「汚職の疑いで逮捕された」と報じている。

イスラマバード警察は「現場で対応に当たった警察官5人が負傷し、デモ参加者43人を逮捕した」とツイートした。

クエッタ警察はデモ隊と治安部隊の衝突で警察官6人を含む少なくとも10人が負傷、デモ参加者1人が死亡したと発表した。

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