◎ロシアでは近年、広い範囲で山火事が多発している。
ロシアの国営メディアは9日、ウラル山脈で発生した山火事について、これまでに21人の死亡を確認したと報じた。
報道によると、ウラル山脈を含むシベリアの広範囲ではこの1週間、山火事が多発しているという。シベリア西部チュメニ州では火を消そうとした男性が死亡した。
地元当局によると、死者の多くはウラル山脈とシベリアの境界に位置するクルガン州郊外の集落で確認されたという。
国営タス通信は関係者の話しとして、「死者数は増える可能性が高い」と伝えている。
クルガン州では5000戸以上の建物が焼失。同州政府は非常事態を宣言し、住民に警戒を呼び掛けている。
国営テレビによると、クルガン州を視察した政府高官は「この地域の山火事は収束しつつある」と述べたという。しかし、タス通信はシベリア地方の他の州で延焼が続いていると報じた。
ロシアでは近年、広い範囲で山火事が多発している。専門家によると、高温による極度の乾燥が自然発火を引き起こしているという。
ロシアの環境専門家は森林のパトロールと山火事対応に当たっていた連邦航空ネットワークが2007年に解体されたことを批判している。その業務は地方当局に移管された。
政府は批判を受け、この方針を撤回。全土の森林を監視する連邦機関を創設した。しかし、シベリアや極東の広大な森林をすべてパトロールすることは難しく、予算も限られている。
プーチン(Vladimir Putin)大統領は昨年5月、当局に対し、山火事を防ぐ対策と関係機関の連携を強化するよう命じた。
同国の2021年の山火事による焼失面積は17万㎢(北海道面積の2倍)と推定されている。