◎マーティン容疑者はバンクーバー市内でドラッグを販売すると公言し、メディアにも宣伝を依頼していた。
カナダ西部ブリティッシュコロンビア州で4日、コカインやヘロインなどのドラッグを公の場で販売したとして、51歳の男が逮捕された。
カナダ放送協会(CBC)によると、逮捕されたジェリー・マーティン(Jerry Martin)容疑者の弁護士は「違法薬物流通による事故を防ぐ取り組みを妨害されたことに憤慨しており、法廷で争う」と述べたという。
マーティン容疑者はバンクーバー市内でドラッグを販売すると公言し、メディアにも宣伝を依頼していた。
バンクーバー警察は声明で、「薬物売買を販売した疑いで男を逮捕した」と述べている。
マーティン容疑者は3日、薬物使用率が高く、依存症患者が多いとされるバンクーバーのイーストサイドで移動式トレーラーによるドラッグ販売を開始した。
CBCによると、マーティン容疑者の兄はフェンタニルの過剰摂取で亡くなったという。
ブリティッシュコロンビア州はフェンタニルの過剰摂取による死亡事故が相次いでいることを受け、ドラッグの少量所持を合法とする試験プログラムを行っている。
マーティン容疑者は同州政府のプログラムが始まったことを受け、「違法フェンタニルが含まれないドラッグを販売する」とSNSなどで発表していた。
フェンタニルは2ミリグラム服用しただけで死に至る可能性があり、その効果はモルヒネの100倍といわれている。
北米大陸で流通するフェンタニルの大半がメキシコから持ち込まれたものである。
ブリティッシュコロンビア州では昨年、確認できているだけで2700人以上がフェンタニルの過剰摂取により死亡した。
マーティン容疑者は地元ラジオ局の取材に対し、「違法フェンタニルの事故を防ぐためにコカイン、メタンフェタミン、ヘロイン、クラックを2.5g以下ずつ販売する予定だ」と述べていた。
また容疑者は「これらの薬物にフェンタニルは含まれておらず、検査も行っている」と説明していた。
メキシコの麻薬カルテルは中国から輸入した合成オピオイドからパニック障害治療薬ザナックス(Xanax)、アデラル(Adderall)、オキシコンチン(OxyContin)などの処方薬に見せかけた錠剤を製造し、欧米諸国に送っている。