◎ライシ氏がパレスチナ人に向けて演説したのは初めて。
イランのライシ(Ebrahim Raisi)大統領が14日、パレスチナのガザ地区でオンライン演説し、同地区を実行支配するイスラム原理主義組織「ハマス」との連帯を示した。
ライシ氏はガザ地区のサッカースタジアムに集まったハマスおよびイスラム過激派組織「イスラム聖戦」の支持者数百人を前に演説。イスラエルとの闘いを継続するよう促した。
ライシ氏がパレスチナ人に向けて演説したのは初めて。イランは長年ハマスを支援してきたが、シリア内戦をめぐる混乱で関係に亀裂が生じていた。
ライシ氏は演説の中で、パレスチナ自治政府が最近ヨルダンとエジプトでイスラエルの代表団と会談したことに言及。「エルサレムを取り戻す必要がある」と語った。
イスラエル警察は先週、東エルサレムの聖地アルアクサ・モスクで礼拝中のパレスチナ人を急襲。これに反発したパレスチナ人過激派がイスラエル領に向けてロケット弾を発射し、両国の会談は台無しになった。
ライシ氏は、「自決へのイニシアチブはあなたたち、パレスチナの戦士の手の中にある」と述べ、ヨルダン川西岸地区に拠点を置くパレスチナ自治政府の存在を否定した。
式典にはハマスのリーダーも出席し、イスラエル領内におけるテロ攻撃とロケット弾発射を祝った。「シオニスト侵略軍のアルアクサ・モスク襲撃に反撃した戦士を称えましょう!」
式典に参加した男性はAP通信の取材に対し、「ロケット攻撃に感銘を受け、涙が出たよ」と語った。「英雄たちはテロ国家を撃滅するために戦っているんです...」
街頭に集まった市民はイスラエルの国旗を燃やし、「エルサレムを取り戻せ」「ユダヤ人に死を」などと叫んだ。
ハマスはスンニ派のテロ組織だが、シーア派の大国イランやレバノンを牛耳るイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」と密接な関係を築いてきた。
イラン、ハマス、ヒズボラ、イエメンの大部分を実行支配するシーア派武装勢力「フーシ」はイスラエルという共通の敵によって結ばれている。