◎中部から北西部の広い範囲では遊牧民と住民の衝突が数十年続いており、争いが収束する見通しは立っていない。
ナイジェリア当局は9日、武装勢力が中部ベヌエ州の避難民キャンプを襲撃し、市民少なくとも30人を殺害したと発表した。
地元警察によると、事件は7日夜に発生。暴力事件に巻き込まれ避難を余儀なくされた市民が狙われた可能性があるという。
ベヌエ州では5日にも武装勢力による襲撃攻撃が2度発生し、最初の攻撃で47人、2回目に3人が死亡したと伝えられている。
州警察の広報担当はAP通信の取材に対し、「犯行声明は出ていないが、この地域の土地と水をめぐる紛争で住民と対立してきた遊牧民が関与している可能性が高い」と語った。
住民たちはフラニ族の遊牧民が自分たちの土地に家畜を放牧、荒らしていると非難している。
専門家によると、この地域で活動する武装勢力の多くがフラニ族の若者で構成され、放牧を許可しなかった地元住民を襲っているという。
フラニ族は1965年に施行された法律で放牧の権利が保障されていると主張している。
暴力事件に巻き込まれた住民たちはその場しのぎの避難所に身を寄せている。
ベヌエ州は同国を代表する耕作地であり、「ナイジェリアのフードバスケット」と呼ばれている。この地域を含む中部から北西部の広い範囲では遊牧民と住民の衝突が数十年続いており、争いが収束する見通しは立っていない。
このような暴力事件が頻発した結果、ベヌエ州の農作物収穫量は年々減少し、多くの住民が貧困と飢えに苦しんでいる。
APによると、5日に発生した虐殺事件の容疑者は捕まっておらず、軍と警察が捜査を続けているという。