◎人権団体はこの部隊を「超国家主義民兵」「差別警察」などと呼んでいる。
イスラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は2日、反アラブ・反パレスチナを推進する超国家主義政党「ユダヤの家」のベン・グヴィル(Itamar Ben Gvir)治安相が監督する国家警備隊の創設を閣議決定した。
ネタニヤフ氏の与党・リクードはユダヤの家との連立協定の中で「司法制度改革の見直し」と「パレスチナの過激派組織を打ち負かす警備隊の発足」を認めている。
人権団体はこの部隊を「超国家主義民兵」「差別警察」などと呼んでいる。
報道によると、部隊には数百人が動員される予定。任務内容や与えられる権限の詳細は不明である。
エルサレムの首相府は声明で、「ネタニヤフ内閣は部隊の創設を承認した」と述べている。それによると、治安機関を監視する委員会が部隊の詳細について議論し、90日以内に結論を出す予定だという。
国家警備隊のたたき台はガザ地区を実行支配するイスラム過激派組織ハマスとの紛争が勃発した2021年に前政権が作っていた。
ベン・グヴィル氏はその全権を治安相に委ねるよう求めている。
ヨルダン川西岸地区における今年の暴力事件数はここ数年で最悪となっている。イスラエル軍は昨年春にイスラエル人が相次いで殺害されたことを受け、西岸地区の取り締まりを強化した。
今年西岸地区でイスラエルの治安当局に殺害されたパレスチナ人は86人。東エルサレムと西岸地区で今年殺害されたイスラエル人は15人となっている。
西岸地区への入植を推進するベン・グヴィル氏は東エルサレムの聖地を訪れるなど、パレスチナ人が挑発と見なす行為を繰り返している。
人権団体はこの部隊の全権をベン・グヴィル氏に一任すれば、さらに多くのパレスチナ人が犠牲になると恐れている。
部隊が発足するかどうかは監視委員会次第である。さらに部隊を正式に発足させるためには法改正が必要であり、ネタニヤフ氏は連立パートナーとの約束を何回か反故にしたことがある。
地元紙タイムズ・オブ・イスラエルは関係者の話として、「警察長官が部隊の発足に反対している」と報じた。