◎南アは国際刑事裁判所(ICC)ローマ規程の締結国。署名したのは故マンデラ元大統領である。
ロシアのプーチン大統領(左)と南アのラマポーザ大統領(Sergei Chirikov/AP通信)

南アフリカラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領は国際刑事裁判所(ICC)によるプーチン(Vladimir Putin)露大統領の逮捕状発行で難しい対応を迫られている。

ICCは17日、ウクライナの子供の違法連行をめぐる戦争犯罪の疑いでプーチン氏とペロワ(Maria Lvova-Belova)大統領全権代表(子どもの権利担当)の逮捕状を発行した。

南ア、中国、そしてロシアを含む新興5カ国でつくる経済グループ「BRICS」は今年8月に南アで首脳会議を開催する予定だ。

与党・アフリカ民族会議(ANC)の報道官は今週、「逮捕状は懸念事項である」と明言した。

南アはICCローマ規程の締結国。署名したのは故マンデラ(Nelson Mandela)氏である。

同国はロシアによるウクライナ侵攻を公式に非難せず、中立の立場を堅持している。

ラマポーザ政権はこの問題がもたらす法的な問題を議論しているようだ。大統領府の報道官は今週、「政府はこの件(ICC逮捕状)に関する法的見解を待っている」と述べていた。

2015年6月、当時のスーダン大統領である独裁者オマル・バシル (Omar al-Bashir)の南ア訪問は国を揺るがした。ICCは人道に対する罪でバシルの逮捕状を発行していたのだ。

当時のズマ(Jacob Zuma)大統領はアフリカ連合(AU)首脳会議に先立ち、全ての加盟国に外交特権を適用させると書面で確約した。

しかし、ヨハネスブルグで会議が開幕すると、人権団体の提訴を受けたプレトリア高裁がバシルの出国を禁じると裁定。ICC逮捕状について審議する時間を取った。

そして24時間後、高裁はバシルを逮捕するよう命じた。しかし、バシルはこの時、すでにスーダン行きの飛行機に乗っていた。

高裁はこれに激怒し、ズマ政権にハーグのICC本部で事情を説明するよう命じた。国民も政府が司法の決定を無視したと非難。混乱はピークに達した。

与党ANCはプーチン氏の逮捕状に関する公式声明を出していない。

一方、野党はウクライナ侵攻を非難しないラマポーザ氏を「プーチンの召使」と呼び、非難している。

南アを含むICCローマ規程の締結国123カ国は逮捕状を執行する義務を負う。プーチン氏がBRICSサミットで南アを訪問すれば、逮捕されるはずだ。

一部のICC加盟国は「ICC非加盟国の国家元首は免責の対象になる」と主張している。

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