◎フーシ派はイランの支援を受け、2014年にイエメン政府への攻撃を開始。サウジアラビアは翌年、イエメン政府を助けるためにフーシ派への空爆作戦を開始した。
イエメンの大部分を実行支配するシーア派武装勢力「フーシ」は25日、首都サヌアの国際空港に到着する国連やその他の人道機関のフライトの数を制限すると発表した。
フーシ派の報道官は声明で、「3月25日~30日の間、サヌア国際空港に人道支援物資を積んだ便は到着しない」と述べている。
また報道官は「サヌアへの人道支援便は今後、毎週金曜日のみ許可する」と述べた。
イエメン内戦は近代史上最悪と呼ばれる人道危機を引き起こし、この8年で少なくとも16万人が死亡。子供を含む1000万~2000万人が飢餓に直面している。
フーシ派はイランの支援を受け、2014年にイエメン政府への攻撃を開始。サウジアラビアは翌年、イエメン政府を助けるためにフーシ派への空爆作戦を開始した。
フーシ派は人道支援を制限した理由について、「サウジがサヌア国際空港の商業便往来を禁じたことに対応するもの」と主張している。
フーシ派はサウジが圧力をかけて商業便の運航を禁じたと主張しているが、事実か否かは不明である。イエメンの国営航空会社は最近までサヌアとヨルダンの首都アンマンを結ぶ便を運航していた。
国連世界食糧計画(WFP)は25日、フーシ派の決定に深刻な懸念を表明した。
WFP報道官はAP通信の取材に対し、「この決定は国連およびNGOによる、助けを必要とする人々への支援に大きな影響を与える可能性がある」と語った。
第2の都市アデンに拠点を置くイエメン政府の報道官はこの決定を「戦争犯罪」と糾弾。「フーシ派は政治的利益を得るために国民を人質に取っている」と非難した。
また報道官は今年度の人道支援資金が不足していることに言及し、「いつ大飢饉が発生してもおかしくない」と警告した。
サヌア国際空港は国連が仲介したイエメン内戦の停戦協定の一環として昨年、商業便の一部を再開した。
この協定は昨年10月に失効した。