◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
国連は21日、中米ハイチの首都ポルトープランスとその近郊で新たに発生したギャング間抗争により、この2週間で少なくとも187人が死亡、150人以上が負傷したと発表した。
国連ハイチ事務所によると、この抗争は2月27日~3月9日にかけて発生。ポルトープランスの複数の地域で激しい銃撃戦が報告され、住民数百人が避難を余儀なくされたという。
同事務所は声明の中で、「ギャングの強制徴用、超法規的処刑、レイプなど、あらゆる形態の暴力が蔓延しており、多くの市民、多くの子供や女性が危機的状況に置かれている」と警告した。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは半年ほど前から複数の武装ギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げており、国連はこの争いで民間人数百人が死亡または行方不明となり、数十万人が国内避難民になったと推定している。
AP通信によると、ポルトープランス中部では「Baz Gran Grif」と呼ばれるギャングが支配エリアを拡大しつつあるという。
ポルトープランスでは今年、確認できているだけで260件近くの誘拐事件が報告されている。警察によると、ギャングは民家や公共エリアで市民数百人を誘拐し、その多くが行方不明だという。
ギャングは勢力を拡大し、ポルトープランスのおよそ6割を支配下に置いたとみられる。
アンリ(Ariel Henry)首相は先週、軍隊を動員し、人手不足に悩む警察を支援すると発表した。
アンリ氏は国連安保理に軍事介入を求め、米国とカナダに部隊を率いてほしいと提案している。