◎フェンタニルは2ミリグラム服用しただけで死に至る可能性があり、その効果はモルヒネの100倍といわれている。
メキシコのオブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領は15日、米国の麻薬撲滅政策を批判し、医療用フェンタニルを禁止すべきと提案した。
メキシコ当局は安全保障の懸案事項のひとつである違法フェンタニルの生産・密売に悩まされている。
オブラドール氏は国内で違法フェンタニル錠剤が生産されているという米国の指摘を否定している。
フェンタニルは2ミリグラム服用しただけで死に至る可能性があり、その効果はモルヒネの100倍といわれている。
メキシコの強力な麻薬カルテルは中国から輸入した合成オピオイドからパニック障害治療薬ザナックス(Xanax)、アデラル(Adderall)、オキシコンチン(OxyContin)などの処方薬に見せかけた薬物を製造し、西側の豊かに国に送っている。
米国に持ち込まれるフェンタニル錠剤の大半がメキシコ産であり、毎年数万人が過剰摂取で死亡している。その多くは自分がフェンタニルを服用していることに気づかない。2020年4月~2021年4月の死者数は初めて10万人を超えた。
オブラドール氏は15日の定例記者会見で、「医師や専門家に医療用フェンタニルを禁じて、違法薬物を減らすことができるかどうか尋ねるつもりだ」と語った。
またオブラドール氏は「米政府にも医療での使用を禁じるよう提案する」と述べた。
医療用フェンタニルが違法市場に出回ったという報告はほとんどない。多くの専門家が「麻薬カルテルやその流通網を取り締まれば、違法フェンタニルを減らすことができる」と指摘している。
メキシコ国防省は14日、米国と国境を接するバハカリフォルニア州ティフアナでフェンタニル錠剤を180万錠以上押収したと発表した。
米国では違法フェンタニル関連の事件や事故が多発していることを受け、メキシコの麻薬カルテルをテロ組織に指定すべきという声が上がっている。
ある共和党議員は「米軍をメキシコに駐留させ、メキシコ軍と協力してカルテルを取り締まるべき」と提案している。