◎イラクは気候変動の影響を強く受けている地域のひとつであり、干ばつや水不足による湖・河川の塩分濃度上昇により、多くの動植物や水源を失った。
イラクのスダニ(Mohammed al-Sudani)首相が12日、新たな気候変動対策を発表した。
スダニ氏は南部の港湾都市バスラで2日間に渡って開催された気候サミットの演説で、国内の電力需要の3分の1を再生可能エネルギーで賄うなど、温暖化の進行を抑えるために政府一丸となって行動すると約束した。
イラクは気候変動の影響を強く受けている地域のひとつであり、干ばつや水不足による湖・河川の塩分濃度上昇により、多くの動植物や水源を失った。
病院では砂嵐の影響で呼吸器系の疾患を訴える患者が後を絶たず、コレラなどの感染症で重症化する患者も増加傾向にある。
スダニ氏は演説の中で、「イラクでは700万人以上の市民が影響を受け、農業や狩猟で生計を立てていた何十万もの人々が避難生活を余儀なくされている」と語った。
またスダニ氏は、「政府は気候変動に対処するための国家計画に取り組んでおり、2030年までに複数の項目を達成したいと考えている」と述べた。
この計画には再生可能エネルギー設備の建設、灌漑(かんがい)用施設の近代化、温室効果ガスの排出量削減、砂漠化対策、国内の生物多様性の保護などが含まれている。
また政府は大規模な植林活動も行うとし、今年は全国で約500万本の木を植える予定だ。政府は国内で消費する電力の3分の1を再生可能エネルギーで賄いたいと考えている。
スダニ氏は近い将来、首都バグダッドで気候変動に関する地域会議を開催したいと表明した。
イラクの水問題には近隣諸国が深く関与している。
イラクは国内で消費する水のほぼ全てをチグリス川とユーフラテス川からくみ上げている。この両河川はトルコからイラクに入る。
イラク政府によると、この両河川においては、トルコ側でダム建設が進み、河川の迂回工事などが行われている影響で水量が減少しているという。