◎シンクタンクや専門家はウクライナ軍の砲弾の在庫が枯渇しつつあると指摘している。
米国務省は3日、ウクライナに4億ドル相当の新たな軍事支援を行うと発表した。
ブリンケン(Antony Blinken)国務長官は声明で、「高軌道ロケット砲システムハイマースや榴弾砲の弾薬などを追加供与する」と述べた。
ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は同盟国に対し、「東部と南部で戦闘が激化し、より多くの砲弾と弾薬が必要になっている」とSNSに投稿。支援を急ぐよう呼びかけた。
米国務省は装甲車などの移動に使用する「架橋戦車」を初めて送る予定だ。
ウクライナ軍参謀本部は今後数週間のうちに大規模攻撃を開始すると示唆している。
アナリストは装甲車が川や溝を渡る際に使用できる架橋戦車の供与について、ウクライナ軍の反攻を後押しすると指摘している。
一方、ロシア軍は3日、東部ドネツク州の要衝バフムートへの攻撃を継続した。
ロシアの民間軍事会社ワグネルはバフムートを包囲したと主張したが、ウクライナ軍は敵を撃退したと報告している。
ウクライナ軍参謀本部は3日、「ロシア軍はバフムート占領の努力を続けているが、自軍はこの攻撃を撃退している」と報告した。
東部ハルキウ州政府は2日、一部地域の住民に避難を命じた。ロシア軍は昨年9月にこの地域から撤退している。
ハルキウ州当局はテレグラムに声明を投稿。「ロシア軍の砲撃が続いており、前線近くの対象地域で生活する子供のいる家庭や移動が困難な高齢者は今すぐ避難すべき」と警告した。
一方、米国務省は今回の軍事支援について、「ウクライナが自国防衛に使用しているハイマースや榴弾砲などの弾薬を数多く送る」としている。
さらに、歩兵戦闘車「ブラッドレー」向け弾薬、装甲車発射橋の弾薬、その他弾薬と装備を送り、ウクライナ兵向けの訓練も行う予定だ。
米シンクタンク戦争研究所によると、ハイマースはロシア軍の戦車や歩兵部隊を効果的に攻撃し、東部ハルキウ州の奪還に大きく貢献したという。その射程距離は榴弾砲や大砲よりはるかに長く、ウクライナ兵の安全を確保しながら遠く離れた敵を攻撃できる。
ウクライナ軍は南部ヘルソン市の奪還作戦でも米国から供与された兵器を投入し、ロシアに強制併合されたヘルソン州の州都を取り戻した。
ブリンケン氏は声明の中で、「米国は同盟国と共に、ウクライナの主権と領土を守る取り組みを継続する」と述べている。
シンクタンクや専門家はウクライナ軍の砲弾の在庫が枯渇しつつあると指摘。ウクライナ軍も弾薬不足には言及していないが、兵器供与のスピードが戦況を大きく左右すると認めている。
ウクライナとロシアはこの数カ月間、主に東部ドンバスで激しい消耗戦を繰り広げ、毎日数万発の大砲を発射しているとみられる。
ウクライナ軍は弾薬不足に関する声明を出していない。しかし、ゼレンスキー氏は2日、「大砲は私たちが最も必要としているもののひとつ」と述べ、それが事実であることを示唆した。
またゼレンスキー氏はロシア軍をウクライナ領から追い払うためには「大量の砲弾だけでなく戦闘機も必要」と強調した。
バイデン(Joe Biden)米大統領は3日、ワシントンD.C.でショルツ(Olaf Scholz)独首相と会談し、ウクライナ侵攻などについて協議した。
バイデン氏は会談の冒頭、「独政府はウクライナを力強く支援している」と謝意を示した。
ショルツ氏は「ウクライナが必要とする限り、支援を続けることが重要」と述べた。