◎プロタセビッチ氏はメッセージアプリ「テレグラム」上の反体制派チャンネル「ネクスタ」の共同創設者であり、独裁者のルカシェンコ大統領を厳しく批判してきた。
ベラルーシの地方裁判所で16日、2021年5月に拘束された反政権派ジャーナリスト、プロタセビッチ(Roman Protasevich)氏の裁判が始まった。
プロタセビッチ氏はメッセージアプリ「テレグラム」上の反体制派チャンネル「ネクスタ(Nexta)」の共同創設者であり、独裁者のルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領を厳しく批判してきた。
ルカシェンコ政権は2021年5月、ギリシャからリトアニアに向かっていた英ライアンエアーの旅客機内に爆弾が仕掛けられているとウソをつき、首都ミンスクの空港に強制着陸させたうえで、搭乗していたプロタセビッチ氏とガールフレンドのサペガ(Sofia Sapega)氏を拉致した。
この事件は国際的な怒りを集め、欧米各国の対ベラルーシ制裁に発展した。
米国とEUは便の迂回を「ハイジャック」と断じ、ルカシェンコ政権に厳しい制裁を科した。
ネクスタは2020年8月の不正大統領選に抗議するデモ参加者によって広く利用され、デモの情報を拡散するツールのひとつになった。
プラタセビッチ氏は逮捕後、約1カ月刑務所に収容され、その後自宅軟禁下に置かれた。
国営テレビはプラタセビッチ氏が涙を流して謝罪する映像を流したが、同氏の父親は「謝罪を強要された」と非難している。
ガールフレンドのサペガ氏は昨年、憎悪を扇動した罪で禁固6年を言い渡された。
ミンスク地裁は16日、プラタセビッチ氏の非公開裁判を開始した。地元の独立系メディアやブロガーによると、同氏は騒乱を組織し、政権転覆を企てた罪などで起訴されたという。
ネクスタの関係者2人もプラタセビッチ氏と共に起訴されているが、国外に避難しているため、欠席裁判にかけられる予定だ。