◎メキシコは何年も前から米国産GMトウモロコシを輸入しており、輸入額は年間30億ドルを超える。
メキシコのトウモロコシ畑(Getty Images)

メキシコ政府は13日、米国の遺伝子組み換え(GM)トウモロコシの輸入を禁じる計画を撤回した。

経産省によると、GM飼料用トウモロコシの輸入に関する政令は13日に公布されたものの、米国からの輸入を禁じるという項目は削除されたという。

米国のGMトウモロコシはコーンチップやスナックなどに加工される。

オブラドール政権が提案していた政令は2024~25年までに米国産のGM飼料用トウモロコシの輸入を禁じるとしていた。

オブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領はGM作物が健康被害をもたらすと主張しているが、証拠は示していない。

メキシコは米国産トウモロコシの最大の取引先であり、農家はこれを失う恐れがあると心配していた。メキシコは何年も前から米国産GMトウモロコシを輸入しており、輸入額は年間30億ドルを超える。

今回公布された政令は「GM飼料とGM飼料用トウモロコシに代わる代替品を確保する」としているが、期日は設けておらず、他国の民間企業などと連携してGM飼料の問題点を研究するという。

経産相は声明で、「GMトウモロコシを禁じるという項目は削除した」と述べている。

また同省は「秩序ある移行を実現するために、国内外の民間企業や専門機関と連携し、その問題点などについて協議する作業部会を設置する」とし、代替品確保に向けた取り組みを進めると強調した。

メキシコは約9000年前に人類が初めてトウモロコシを栽培した場所とされる。同国は在来種を保護するために、GMトウモロコシ種子の輸入を禁じている。

メキシコでは主に国産のホワイトコーンとトルティーヤ粉が消費されている。

米政府はメキシコにGMを危険視する「科学的根拠」を提示するよう求めている。GM作物の取引禁止令は二国間の農作物貿易に大打撃を与え、何百億ドルもの損失につながる恐れがある。

オブラドール氏の提案は米加メキシコ自由貿易協定に違反し、米国とメキシコの貿易摩擦を悪化させる恐れがあった。メキシコはエネルギー部門(主に電力と石油)でも国営企業を優遇する政策をとっている。

ワシントンD.C.ホワイトハウス、バイデン大統領(右)とメキシコのオブラドール大統領(AP通信)
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