◎連邦議会は今週初め、定年年齢を62歳から64歳に引き上げる政府の法案を騒々しく議論した。
フランス全土で11日、マクロン政権の年金改革案に反対する集会やデモが行われ、100万人近くが参加した。
内務省によると、パリ、ニース、マルセイユなどで96万人以上がデモに参加し、市内を行進したり、警察に石を投げたりしたという。
同省は全国の警察に警備を強化するよう命じた。
デモ参加者はマクロン政権に計画撤退を迫り、2月16日にはさらなる行動を計画している。
パリ当局は過去最多となる9万3000人が参加したと発表した。
フランス24によると、多くのデモ参加者が今週の平日に行われたデモに参加できなかったという理由で「馳せ参じた」という。
今回のデモは鉄道労組のストライキが伴わなかったため、多くのデモ参加者が鉄道で現場に足を運んだ。しかし、航空部門では管制官労組が突然ストを決行し、パリ郊外のオルリ空港を発着する便は11日午後の時点で半分がキャンセルとなった。
パリの学生や労働者は「マクロン、去れ!」「死ぬまで働くなんてイヤだ!」「定年を60歳に引き下げろ!」などと叫びながら行進した。
18歳の女子学生はAP通信の取材に対し、「インフレの高止まりや電気料金の高騰が続く中で定年を64歳に引き上げるなんてありえない」と語った。「私は家族が心配です。政府は国民の声を聞け!」
連邦議会は今週初め、定年年齢を62歳から64歳に引き上げる政府の法案を騒々しく議論した。
年金支給年齢の引き上げはマクロン(Emmanuel Macron)大統領が2017年に初当選した際の公約のひとつであり、昨年の大統領選でも年金改革を推進すると約束していた。
マクロン氏の与党・共和国前進の議席は過半数に満たず、法案が成立するかどうかは他の右派政党にかかっている。
極左政党「不服従のフランス」のメランション(Jean-Luc Melenchon)氏は改革案を破り捨てると宣言し、極右「国民連合」のル・ペン(Marine Le Pen)党首は「マクロンの政策には基本的に反対だ」と述べた。
報道によると、パリ中心部の大通りで車1台とゴミ箱数個が燃やされ、一部の暴徒と機動隊が衝突。機動隊は催涙ガスで暴徒を蹴散らした。
パリ市警は銃器の不法所持や破壊行為などで少なくとも8人を逮捕したとしている。
一部のデモ参加者は感情的な横断幕を掲げて市内を行進した。APによると、10代とみられる少年は「両親が職場で死ぬなんてイヤだ」と書かれた横断幕を掲げていたという。
マクロン政権は平均寿命が伸び、出生率が低下しているため、年金の支払いを維持するためには改革が必要不可欠としている。日本を含む他の先進国も似たような問題を抱えている。