◎ゼレンスキー氏は9日のEUサミットでも戦闘機の供与を決断するよう各国首脳に求めるとみられる。
ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は8日、訪問先のイギリスとフランスで英仏独の首脳と会談し、戦闘機の供与を強く要請した。
ゼレンスキー氏の外遊はロシアの侵攻開始以来2度目。9日にはブリュッセルでEU首脳会議に出席する予定だ。
セレンスキー氏は8日午後、パリの大統領府でマクロン(Emmanuel Macron)大統領とショルツ(Olaf Scholz)独首相と会談し、ウクライナへの継続的な支援に謝意を示した。
マクロン氏とショルツ氏は共同声明で、「ロシアの侵略と勝利を許してはならない」と改めて表明した。
フランスはウクライナに戦闘機を供与する可能性を除外せず、ドイツは欧州各国が保有する主力戦車「レオパルト2」と旧型の「レオパルト1」の供与を決めている。
レオパルト2と米国が供与を決めた精密誘導ロケット弾「地上発射型小直径爆弾(GLSDB)」は戦況に大きな影響を与えると期待されている。GLSDBの射程距離は最大150km、高軌道ロケット砲システム「ハイマース」のほぼ2倍だ。
ゼレンスキー氏は9日のEUサミットでも戦闘機の供与を決断するよう各国首脳に求めるとみられる。
ゼレンスキー氏は共同記者会見の中で、「フランスとドイツは戦車、最新の戦闘機、長距離ミサイルをウクライナに提供することでゲームチェンジャーになれる可能性がある」と語った。
またゼレンスキー氏は「3者会談で戦闘機の供与について議論した」と述べ、兵器の供与が遅れれば、多くの人命が失われると警告した。
マクロン氏は「ウクライナへの支援を継続する」と約束し、「フランスはウクライナの勝利と権利を確立する取り組みを支援すると決意している」と強調した。
ショルツ氏は「ドイツの立場は変わらず、ロシアに勝たせてはならない」と述べた。
両首脳は戦闘機の供与には言及しなかった。
両首脳はウクライナ支援に後ろ向きと批判されてきたが、各国の戦車供与が決まって動きを活発化させているようにみえる。
ゼレンスキー氏は以前、開戦以降もロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領と電話会談を続けたマクロン氏に不満を表明している。
しかし、ゼレンスキー氏は仏紙ル・フィガロのインタビューで、「マクロン氏は変わったと信じている」と語った。
ゼレンスキー氏は3者会談の前にロンドンでスナク(Rishi Sunak)首相とも会談。英製戦車「チャレンジャー2」の供与とこれまでの支援に謝意を表明し、チャールズ国王(King Charles III)とも面会した。
またゼレンスキー氏はウェストミンスター・ホールで連邦議会議員を前に演説。第2次世界大戦を終結に導いた英首相ウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)氏の演説を引用し、「決して降伏せず、敗北しない」と誓った。
一方、英国防省はNATOの最新戦闘機でウクライナ軍パイロットを訓練すると表明したが、「長期的な取り組みであり、訓練には何年もかかる可能性がある」とした。
在英・ロシア大使館は8日、ウクライナに戦闘機を供与した場合、ロシア大統領府から「それ相応の応答」があると警告した。