◎カイバル・パクトゥンクワ州ペシャワルのモスクで先月30日に発生した自爆テロではこれまでに101人の死亡が確認され、200人以上が重軽傷を負った。
アフガニスタンのタリバンは1日、パキスタン北西部のモスクで発生した自爆テロについて、アフガンではなく自国の過激派を非難するよう訴えた。
カイバル・パクトゥンクワ州ペシャワルのモスクで先月30日に発生した自爆テロではこれまでに101人の死亡が確認され、200人以上が重軽傷を負った。
事件後、アフガンの山岳地帯に拠点を置く「パキスタンのタリバン運動(TTP)」の司令官がツイッターに犯行声明を投稿したものの、TTP報道官はその後、関与を否定する声明を発表した。
タリバン政権の外相を務めるムタキ(Amir Khan Muttaqi)氏はパキスタン政府がタリバンを非難したことについて、「アフガンがテロの震源地になっているというパキスタン側の主張は、テロに国境はないということを意味する」と反論した。
TTPとアフガンのタリバンは別組織だが、思想は共有している。TTPはかつてパキスタン南西部バルチスタン州に拠点を置き、現在はアフガンの山岳地帯に潜伏している。
多くの専門家が「タリバンはTTPに銃器や弾薬を供与している可能性が高い」と指摘している。しかし、タリバンはTTPとのつながりを強く否定している。
ムタキ氏はパキスタン政府に対し、ペシャワルのテロの捜査を「真剣に」行うよう要請した。
またムタキ氏は「アフガンはテロの震源地ではなく、もしそうであれば他国でも同様のテロが起きているはずだ」と主張した。「アフガンがテロの震源地であるのなら、中国、タジキスタン、ウズベキスタン、トルコメニスタン、イランでもテロ攻撃が相次いでいるはずです...」
ムタキ氏は「隣国を非難するのではなく、協力し合わなければならない」と訴えた。「我々は兄弟であり、手を取り合って問題を解決できると信じています...」
一方、パキスタン当局は1日、テロ攻撃の犠牲者が1人増えて101人になったと発表した。爆破されたモスクはペシャワル中心部の州警察本部と同じ敷地内にあり、自爆テロ犯がどのように入り込んだかは明らかになっていない。
一部の地元メディアはモスクの入り口付近で男が自爆したと報じている。犠牲者の多くがモスクの屋根の崩落に巻き込まれ死亡したと伝えられている。
パキスタンのアシフ(Khawaja Mohammad Asif)国防相は先月31日、TTPが隣国アフガンから攻撃を仕掛けてきたと非難し、アフガンのタリバンにも取り締まりに協力するよう要請した。
TTPの司令官はツイッターに犯行声明を投稿したが、報道官は関与を否定している。
米国がアフガンで国際テロ組織アルカイダの残党やタリバンと対峙した過去20年の間に、パキスタンの国境沿いやペシャワル周辺では武装集団が活動を活発化させた。
南西部バルチスタン州では分離独立を目指すイスラム過激派「バルチスタン解放軍(BLA)」が攻勢を強めている。
一部の脆弱な過激派はパキスタンの情報機関に吸収された。しかし、アルカイダや他の筋金入りの過激派は米軍による国境地帯への空爆に怒り、「聖戦を続ける」と宣言している。
パキスタンの反政府武装勢力の代表格がTTPである。TTPは2000年代後半から2010年代初頭にかけて、国内各地でテロを繰り返し、多くの民間人を殺害した。
TTPと政府の停戦協定は昨年11月に失効した。