◎セシウム137はウラン燃料が核分裂をした際に生じる放射性物質であり、近づくと被ばくする。
英豪系資源大手リオ・ティント社は29日、豪サウスオーストラリア州で放射性物質を紛失した問題について、地域住民に改めて謝罪した。
同社のトラックは今月10日、サウスオーストラリア州の鉱山を出発し、西部パースに向かう途中でセシウム137のカプセルを紛失したとみられる。
当局は鉱山とパースを結ぶ約1400kmの道路を捜索しているが、カプセルは見つかっていない。
カプセルを輸送していたトラックは16日にパースの車庫に到着。カプセル紛失が州消防局に通知されたのは25日だった。
州政府は連邦政府と近隣州に支援を要請。カプセルの大きさは8mm×6mmと非常に小さく、当局は対象区間を通行した車のタイヤに挟まった可能性もあると警告している。
セシウム137はウラン燃料が核分裂をした際に生じる放射性物質であり、近づくと被ばくする。
リオ・ティント社は声明で、「事故を非常に深刻に受け止めている」と謝罪した。
また同社は「関係機関の捜査に全面的に協力し、紛失の経緯を調べる独自の調査を開始した」と明らかにした。
当局者は放射線検出器(ガイガーカウンター)を使ってトラックが通った約1400kmの道路を調べている。
州消防局はリオ・ティント社の通知から2日後の27日に紛失を公表した。
リオ・ティント社によると、請負業者はカプセルを輸送する資格を持ち、鉱山を出発する前にガイガーカウンターを使ってカプセルが車内にあることを確認したという。
オーストラリア放送協会(ABC)は関係者の話を引用し、「現時点で刑事責任を問われる可能性は低い」と報じた。