◎この事件は2021年後半に発生し、約70kmの海岸線に数千匹のカニの死骸が散乱。瀕死状態のカニも多数発見された。
イギリス当局は20日、イングランド北東部ティーズサイドの海岸で2021年にカニが大量死した問題について、「公害が原因とは考えられず、原因は不明」と発表した。
この事件は2021年後半に発生し、約70kmの海岸線に数千匹のカニの死骸が散乱。瀕死状態のカニも多数発見された。
環境保護団体は重工業地帯であるティーズサイドの港を拡張する浚渫(しゅんせつ)工事で汚染物質が拡散したのではないかと疑っている。
水産業界の支援を受ける専門家チームは昨年、汚染物質のピリジンが大量死を招いたと示唆していた。
しかし、英政府が設置した科学者と産業界の専門家で構成される調査委員会は20日、「汚染物質が原因であることを示す証拠はない」と結論付けた。
環境局の科学顧問は声明の中で、「ピリジンやその他の汚染物質が大量死の原因である可能性は極めて低い」と述べている。
委員のひとりであるランカスター大学のハルソール(Crispin Halsall)教授は、「委員会はこの地域の海水に高濃度のピリジンが含まれる証拠を見つけることができなかった」と語った。
委員会はイギリスの海域で新たに発生した病原体(病気や寄生虫)が大量死を招いた可能性も「ほぼない」と結論付けた。
別の委員は声明の中で、「我々はイギリス中の誰よりもこの問題に疑問を持ち、答えを探してきた」と強調した。
委員会は「仮に病原体が存在するとしても、それを含むカニが人体に影響を与える可能性は極めて低く、この地域の魚介類は安全に食べることができるだろう」と述べている。